★東京を拠点に活動を続け(ニューヨーク、ヨーロッパへも度々出張)、M&Iやポニーキャニオンよりの諸作に好評を集めてきた個性派女性ピアニスト:川上さとみの、本盤は、先頃ダイレクト・カッティングのアナログLP版が出て即完売の大評判だった(そして再発もしくはCD化が待ち望まれていた)2023年9月キング関口台スタジオ録音のトリオ・セッション音源を、LPに入っていた既発の4曲に今回新たに未発表の4曲を加えてヴォリューム倍増=コンプリート化した、SACDハイブリッド盤仕様(通常のCDプレーヤーで再生可能)での待望の初CD版。
★端正でいて重厚感や鋭角的キレのある骨太鮮明タッチのピアノが、ハード・バップ・ジャズならではのソリッド&スクエアーなダイナミック・アクションに粋なファンキー系統のブルース節、更には瞑想感仄めくダーク・ファンタジックなリリシズム表現や幾分かクラシック・ピアノに接近した荘厳エレガント・フレージング、などを加えてトータル的には程好くメロディックではあるが甘すぎず絶妙に制御の利いたピリッとした情緒型プレイを時に繊細に、時に豪快に綴って生鮮度抜群のきららかな華を成し、これを控えめに盛り立てつつグルーヴとサスペンスを的確に醸成するベース&ドラムの機敏なサポートもしっかりフレッシュ・スリリングに魅力を放った、全般に硬軟剛柔をバランスよく併せ持つ振り幅充分のドラマティック熱演が紡がれて、メリハリある昂揚感と奥深い浪漫を満喫させる会心打内容。
★元々ダイレクト・カッティングのLP製作を意図して吹き込まれただけに失敗の許されないピーンと張り詰めた緊迫感が全編を貫き、これが聴く者にも心地よく伝播してくるという清新味の絶えない道程の中で、モーダル・バピッシュな硬派筋のスウィンギン立ち回り攻勢と、半メディテイティヴでクール・センシティヴな耽美的リリカル路線とが概ね半々ずつぐらい塩梅よく配置される、という快適な緊張の途切れない進行展開となっており、そうした中で繰り出される川上(p)のバッパーでありロマンティストでもあるニュアンス濃やかにして中々自由闊達なアドリブ妙技が殊の外スッキリ爽やかに愉しめる寸法だ。
→全体のバランスとしてはLP版と比べていくらかハード・バップ色が強まった印象もあり、ひたすらデリケートに情感〜心象の機微をじっくり掬い取ってゆくような詩人肌のロマンティシズム描写(即ち文芸アート傾向?)と、力学的タフネス全開で豪胆に疾駆驀進する真っ向勝負のモーダル・バピッシュ突撃!、の両極端にそれぞれ確固たる豊かな妙味が発揮されているが、今回初出の#1辺りでは柔和でポエティックな外観の内側からハードな殺陣風のダイナミズム理念が見え隠れしたり、同じく初出の#2とかではハード・バピッシュな趣向が貫かれながら繊細なメランコリーも散発的に仄めいたりと、硬性と抒情が細かに表裏を成したその弾鳴には極めて奥行き深遠なる魅惑力があり、またジャズ・ピアノ〜ハード・バップ・ピアノ以前にクラシック・ピアノに奏法・言語感覚のルーツがあることを時折窺わせる、辺りも結構ユニークな無双さ。
1. Essence
2. True Intention
3. Beautiful Solitude
4. All Senses
5. Perspective
6. Everlasting
7. Perceptions
8. Sensibility
*all written by Satomi Kawakami
川上 さとみ (piano)
Brent Nussey ブレント・ナッシー (bass)
田鹿 雅裕 (drums)
2023年9月13日キング関口台スタジオ(東京都文京区関口2丁目)録音
レーベル:
Pony Canyon ポニーキャニオン
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国内制作SACD Hybrid=ハイブリッド盤(通常のCDプレーヤーで再生可能)