★云わずと知れたアメリカ白人女性ジャズ・ヴォーカルの最高峰スター=大歌手:ヘレン・メリル(1929年または1930年米ニューヨーク市生まれ)の、本盤は、ツアーでもメリルをサポートした内田浩誠(p)率いるトリオを伴っての円熟の名唱が聴かれる、1982年と1983年の来日時(1982年8月&1983年4月)を捉えて東京パイオニア・スタジオで吹き込まれたロブスター企画原盤の傑作(当初はヴォーカルの入った8曲のみの収録だったが再発時にインストの3曲が加えられて現在の全11曲の形となった)、のCD化・新装再発(限定)版。
★一音一音に重みと強堅さを込めてクッキリと鮮明に叩き鳴らすが如きアーシー・バピッシュ・ピアノ以下、バックのトリオの律動力と機動性を併せ持ったブルージー・スウィンギン演奏に歯切れよく導かれて、掠れ裏返り具合に絶妙の渋さ並びに色香や艶を感じさせる繊細かつ張りのあるしなやかなハスキー・ヴォイスが、一語一句に丁寧に情感を乗り移らせ、と同時に軽妙小粋なグルーヴ=ノリの醸成やブルース由来の旨味&哀愁の発露なども巧まず並立させた、一貫して自然体の落ち着いた優しさを絶やさない包容力&含蓄に富むリリカル演唱を、ひたすら丹念に切々と読み聞かせるかのような調子で、しかも独特の"かろみ"をもってまろやかに綴って、何とも風流な雅趣を湛えつつの華を悠然と成した白眉の醸熟内容。
★インティメイトな和気と敏活で小気味のいいスイング感に貫かれた、"シャレたラウンジで一服休憩気分"の瀟洒味溢れるテンダー&ハートウォーミングな寛ぎセッション、が愉しそうにイキイキと、しかし一定の作法美も絶やすことなく端正に展開され、随所で内田(p)のファンキー・バップ・プレイもイナセでコク旨な妙味を放つ中で、メリル(vo)の、バラード的コンセプトを根幹とし一声一声に柔和な誠心のこもった、切実でありながらどこか達観したように超然として恬淡な趣さえある、先ずは何よりハスキー・ドライ&ちょっぴりスモーキーな声音そのものに顕れる百戦練磨のスター性〜揺るぎない存在感に理屈抜きで圧倒されるそうした熟練の歌い回しが、行間豊かで懐深い魅力を事も無く発揮していて実に感動的だ。
→ここではあくまで歌詞とメロディーを大切にした抒情派スタイルに徹し、詩の情緒、情景の移ろいを一つ一つ心をこめて掬い取ってゆくが如き、メロウで優しい温もりに溢れアジなナイト・ドリーム色も漂うファンタジック節を語りかけるように軽やかに繰り出し、しかも巧まずしてブルージーな吟醸感やバピッシュな旨口のノリも裏側から入り込んでくるみたいに絶妙に加味されていて、トータルとしてはそういう切ないエモーションの体現と声質自体の幾分乾いたクールな風合いとが相まって、哀歓濃やかでいてさっぱりサラリともした独自の幽玄に富む雅やかな歌声キャラが中々ソフィスティケートに立ち現れており、さすが卓抜。
01. プット・ユア・リトル・フット・ライト・アウト (インスト)
02. ホワイル・ウィアー・ヤング
03. バイ・バイ・ブラックバード
04. ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ
05. スウィングしなけりゃ意味ないね
06. ボッサ・ヌーボー (インスト)
07. オール・ブルース〜セントルイス・ブルース
08. アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー
09. 恋に恋して
10. イマジネーション
11. マイルストーンズ (インスト)
ヘレン・メリル Helen Merrill (vocal except 01, 06, 11)
内田 浩誠 Kosei Uchida (piano)
河原 秀夫 Hideo Kawahara (bass)
ティム・ホーナー Tim Horner (drums)
1982年8月27日,1983年4月21日東京パイオニア・スタジオ録音
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe)
★新規解説歌詞付
★デジタルリマスタリング
★録音年月日:1982年8月27日、1983年4月21日
★収録場所:東京パイオニア・スタジオ
★オリジナル発売年:1983年 (*Lobster Kikaku Co.,Ltd. LDC-1035原盤)
在庫有り
CD