★高橋佑成(1994年東京都世田谷区生まれ)、武本和大(1995年生まれ、東京都出身)、平倉初音(25歳?)という新世代の3人のピアニストが左右に分かれ、時にはエレピも使い、デュオ、ソロ、トリオによる演奏を聴かせるという異色のプロジェクト作品。
★ピアノ音の重なり・連なりがキラキラした光沢や潤いを放つようでもある重層的アンサンブルの躍動感+奥行き深さが聴く者を鋭く圧倒しつつ、各々のキレのあるハード・バピッシュ&メロディアスな即興ソロが抜群の鮮度で見せ場を飾り、またその力のこもった重奏により中々豪快で分厚いダイナミック・グルーヴも齎される、という、個々のプレイは大凡オーソドックスだが合わさると有無を云わさぬ迫力と色彩感とで未知の昂揚感を味わわせる、極めてユニークな敢闘内容。
★互いの音がダブらぬよう細心の注意が払われながら、しかしトータル・サウンドとしては太く厚みあるカラフルめのソロ・ピアノを聴くような多層多角的メロディック・スインギー奏演が、ヴォリューム感&重量満点に展開してゆき、曲によりまた組み合わせにより各人の芸風は刻々と変移するが、概ね正統的なハード・バップ・スタイルとエヴァンスをちょっぴり内省方向へ寄せた感じの翳りあるロマンティスト体質、を二本柱とした、つまりバピッシュ・グルーヴと耽美浪漫が同時多発的に交錯する道程をごくフレッシュに愉しませる。
★中でもとりわけ際立っているのが平倉の、(エレピでは例外的にファンタジック・ドリーミーな端麗詩人ぶりも垣間見せるものの、)殆どの場面で迷いなく妥協なく肝の据わったこってりブルージーでソリッド&スクエアーな硬派吟醸ハード・バッパーになりきって悔いなし、といったその潔い活躍で、これが何ともゴキゲンに傑出しており、高橋や武本のより場の空気を読み協調性を重視し(或いはドラマツルギー的に"役"を演じることをよく心得)てテイスティー・グルーヴィーにもメディテイティヴにもなる器用な立ち回りを平倉が悠然と大きく引き離している、辺りが、音そのものに宿るスター性も手伝って殊の外痛快だ。
01. I'll Remember April
*S:武本 F:高橋
02. Freakin' Ray Of Sunshine
*R:平倉 F:武本
03. Interlude_A
*S:平倉
04. Unconscious
*S:平倉 F:高橋
05. Metsä
*S:高橋 F:武本
06. Interlude_B
*F:武本
07. Cherokee
*S:高橋 F:平倉
08. PNJ
*S:平倉 F:武本
09. Interlude_C
*F:高橋
10. Blue Monk
*S:武本 F:平倉 R:高橋
S:Steinway & Sons (left side)
F:Fazioli (right side)
R:Fender Rhodes
高橋 佑成 (piano on 01, 04, 05, 07, 09) (electric piano on 10)
武本 和大 (piano on 01, 02, 05, 06, 08, 10)
平倉 初音 (piano on 03, 04, 07, 08, 10) (electric piano on 02)
2024年3月8日NK SOUND TOKYO(東京都新宿区四谷4丁目)録音
レーベル:
Days of Delight
在庫有り
CD