★桐朋学園短期大学部ピアノ科卒業後、ジャズ・ピアノを辛島文雄と板橋文夫に師事、ジャズ理論を佐藤允彦に師事して、関東シーンで演奏活動、2001年には生まれ育った長崎へ拠点を移して益々精力的に活躍、1998年に初リーダー作をリリースして以来、主に自己レーベル:Operation Moca(Operation Moc@)から着々とアルバムを発表して支持層を拡大してきた、キャリア豊富な女性ピアニスト：小國雅香(おぐにもとか)の、今回は、アルトサックスとベースが出入りする小編成体制での一編。
★ゴロゴロした石を転がすような骨太く堅牢で陰影にも富んだソリッド・タッチのピアノが、粛然毅然として殺陣の型を貫く感じの苦味走ったダイナミズム攻勢であったり、その固く精確な打鍵を活かしてのモード語法とクラシック・ピアノの掛け合わせ的なリズミカル・アクションであったりと、概ね硬質で翳り濃いビタースウィートなブルージー・バピッシュ・プレイを鋭角に綴って中々凛々しげな魅力を放ち、緩急自在のアーシー・ブロウでイナセっぽく座をさらう熱血アルトや、太く重厚にウネり波打つ弾みのいいベース、らも各々しっかりデリシャスな存在感を際立たせた、全編インティメイトな和気と快活な躍動力の並立するリリカル世界に小気味よく浸れる好演内容。
★歌心とスイング感を何より大切にし、なごやかな寛ぎの中に力強いアクティヴィティを堅持した、ブルース&バップの伝統精神も自ずと豊富に備える至って親しみやすい抒情性徹底重視のハートウォーミングな行き方、が歯切れよく続き、現れるやイキに華やいだ少々やんちゃそうな個性でフレッシュに空間を賑わせる浦(as)や、温かな包容力と敏捷・敏感なセンシビリティを兼備した丹羽(b)、らもそれぞれハマるべきツボに鮮やかにハマりきったメリハリある道程の中で、小國(p)の、モダン・ジャズ・ピアノの王道を揺るぎなく突き進む、ド直球・ド真っ当にして一音一音に丁寧に丹誠の込められた、メロディーも和声もこの上なく美しい端正なアドリブ妙技が何とも瑞々しく爽やかな煌めきを示して素敵だ。
→先ずは伝統的バップ・イディオムに則ったハード&スクエアーな力学指向の立ち回り節で道筋の根幹をガッチリ強靭に固め、味つけとして軽やかな玉転がしタッチの寛ぎファンキー・プレイであったりエヴァンスやルイス・ヴァン・ダイク辺りに通じる繊細甘美なロマンティシズム表現であったりの、美旋律ならびにブルース由来の旨味の宝庫たるテンダー・フレージングを潤沢に盛り込んで聴く者を優しく憩わせ、しかしトータルとしてはあくまでハード・バッパーたる精悍そうな気概や渋味が失われることはない、という、さりげなく絶妙の均衡点を保持したそういう弾鳴の円熟ぶりは卓抜。ボーナス・トラック#10でのヴァイオリンが胡弓(或いは中国の二胡?)のように聞こえてくるオリエンタルな牧歌調妙演もナイス。
01. Flamingo Of Blue (as-p-b)
02. 鐘の歌(ウクライナ キャロル)〜Greensleeves (solo p)
03. Rhapsody In Blue〜St.Louis Blues (as-p-b)
04. To Believe In Your Wish 〜穏やかな日が戻りますように (as & p duo)
05. with the twilight (as & p duo)
06. 長崎の鐘〜Danny Boy (p & b duo)
07. Corona Incidente(コロナ事変) (p/org ; possibly overdubbed self duo?)
08. イスラのお昼寝 (p & b duo)
09. 浜んまちピアノ (as-p-b)
10. 長崎春雨夜(bonus track) (p-vln-b-ds/per)
小國 雅香 (piano) (organ on 07)
浦 ヒロノリ (alto saxophone on 01, 03, 04, 05, 09)
丹羽 肇 (bass on 01, 03, 06, 08, 09)
#10(bonus track)：
小國 雅香 (piano)
喜多 直毅 (violin)
丹羽 肇 (bass)
後藤 まさる (drums, percussion)
2024年日本作品
レーベル：
Operation Moca (Operation Moc@)
在庫切れ
再入荷予定
国内自主製作CD
