★バークリー音大の教官だった時期もあり、NY主流派シーン第一線と地元のボルチモアを行き来しつつ多忙に活躍、M&IやMack Avenue等よりの諸作に好評を集めてきた黒人モダン・ヴィブラフォンの正統なる逸材:ウォーレン・ウォルフ(1979年米メリーランド州ボルチモア生まれ)の、今回は、サックスが出入りする小コンボを率いての、ジャズ・ヴィブラフォンの偉大な先人達に捧げられた一編。
★清涼感や潤いと半メタリックなパーカッシヴ感を併せ持った爽やかトーンのヴィブラフォンが、バピッシュなダイナミック・アクションとブルージーな吟醸節そしてイキな歌謡フレージングを掛け合わせた、至って分かりやすい躍動型メロディック・プレイを歯切れよくも流麗に綴ってスッキリとした生鮮度抜群の華を成し、アグレッシヴ&パッショネートに熱く叫び吠えるアルトサックスや、硬質でスクエアー、時にはエネルギッシュに疾駆するところもある劇的ピアノ、らも気合の入った追い上げ様でアザやかに彩りを添えた、全体を通じ主役ヴィブラフォンのクーリッシュでいて"粋渋の極み"とも云えるアジな活躍が綺羅星の如く際立って、終始テイスティー・グルーヴィーにノセられる会心打内容。
★「ヴィブラフォンの歴史」と銘打ってはいるもののそこまでコロコロと芸風が変転してゆくわけでもなく、ウォルフ(vib)のスタイルは大方のところミルト・ジャクソンとボビー・ハッチャーソンの中間ぐらいな"ブルースとバップを重んじる"行き方を根幹としていて、曲によってはゲイリー・バートン以降のコンテンポラリー流儀へ推移して一層スマートなグルーヴを体現する局面もある(ライオネル・ハンプトン以前のスイング調とかは殆ど認められない)が、ともかく安心して聴いていられる親しみやすい大衆娯楽指向のオーソドックスな快演が続く中、歌心とスイング感を何より大切にしたリリカルでノリのいい妙演が滑脱に展開されて大いに愉しませる。
★ウォルフ(vib)の、バップ魂みなぎる燻し銀的スウィンギン路線にあっても、ちょっとモーダルな今風グルーヴ趣向にあっても、一貫して"ブルース命"の姿勢を1ミリも崩さないその徹頭徹尾ダウン・トゥ・アース&メロディアスな黒い美旋律の塊のような音キャラは、ヒンヤリ涼しげでありながらしっかりハートウォーミング加えてコク旨でもあり説得力も満点。ちょっとやんちゃな掻き回し役のグリーン(as,ss)やソリッドで折り目正しい抑え役のブラウン(p,elp)、らの助演もそれぞれピタリとツボにハマッてナイス。
Side A
1. Bopstacle Course (vib-p-b-ds)
2. Midnight Sun (as-vib-p-b-ds)
3. Django (vib-p-b-ds)
4. Herzog (as-vib-p-b-ds)
Side B
1. Vibrations (vib-elp-b-ds)
2. Captain Senor Mouse (ss-vib-p-b-ds)
3. I See You Baby, Looking At Me (vib-elp-b-ds)
Warren Wolf (vibraphone)
Tim Green (alto saxophone on A-2, A-4) (soprano saxophone on B-2)
Alex Brown (piano on A-1, A-2, A-3, A-4, B-2) (electric piano on B-1, B-3)
Vicente Archer (bass)
Carroll "CV" Dashiell III (drums)
2023年12月1日米ニューヨーク市クイーンズ区ロング・アイランド・シティのGB's Juke Joint録音
2024年カナダ作品
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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輸入盤LP
入荷予定時期:2024年8月下旬
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