★山口県岩国市で生まれ育ち、学生時代より作詞作曲などの制作活動をスタート、高校卒業後、広島を拠点に西日本のライヴ・シーンでプロとしての演唱活動を始め、廣木光一(g)とのデュオによる1stアルバム「歌集〜buquet」をリリース、2002年からは本拠を関東に移して都内のライヴハウスなどで精力的に歌い続けてきたキャリアある本格派タイプのジャズ・ヴォーカリスト:中村泰子が、六本木の老舗ジャズクラブ:"アルフィー"でのライヴをディスク化するお馴染みの人気シリーズに初登板。バックはピアノ、ベース、ドラムのシンプルなトリオ。
★ファンキー・バップの理想形を示した粋渋なピアノ・トリオに導かれて、適度に太く重心の据わった陰影にも富む中低音のしなやかヴォイスが、人情味&温もり豊かだがそれにも増してブルース由来の旨味やバピッシュなグルーヴ感の体現により主眼を置いた印象の、英語の発声も自然で流暢なテイスティー・スインギー演唱を滑脱かつ精確に綴って、堂々とした威風とコクのある中々スケールの大きな華を成し、これを一音一音に細心を配ってセンシティヴに盛り立てるピアノ、ベース、ドラムのチームワークも抜群のサポート・プレイもアジな魅力を際立たせた、何より主役ヴォーカルの包容力のデッカい歌声キャラにノリよく取り込まれる思いの充実内容。
★インティメイトな和気っぽさや寛ぎを多々感じさせると同時に歯切れよくダイナミックな迫真のスイング感、迫真のスリルにも溢れた、なごんでいながら背筋はピンと伸びているイメージのしっかり"グルーヴィー"な行き方が続き、ヘイテツ(p)の丹念なアーシー・バピッシュ弾奏や吉田(b)の太々と重厚にウネる波打ちワザも美味さ格別に光る中、彼らに決して引けを取らず余裕で渡り合う中村(vo)の、先ずは声そのものに顕れる圧倒的な気魄や存在感の濃さが理屈抜きで聴く者を呑み、繰り出される本格派筋の力強い歌唱が熟れた旨味と深く豊かなノリを極めて高密度に齎す、といった具合で正に独壇場的な世界が悠然泰然と創出されていて、全く降参だ。
→熟した大人の色香を充分備えながら、その一方でかつてのビリー・ホリデイ辺りにも底通する独特のけだるい疲労感やスモーキーなブルース哀歌的くすみ〜燻し銀っぽさが絶えず付いて回る、という、バラードとかでは優しい人肌の風合い〜テンダネスも濃やかに揮われるもののトータルなアウトラインとしてはあくまでどこかグルーミー&デカダンな醸造を重ねた風なこってりした芳醇キャラに収束される、そうした、程好く癖のある個性に(中々毅然として)落とし込んで見せたシブめな歌声のあり様は、ちょっと潔くもあり説得力も十二分。
1. But Beautiful
2. Round Midnight
3. For All We Know
4. Body And Soul
5. When October Goes
6. House Is Not A Home (vo & p duo)
7. At Last
8. Day In Day Out
9. P.S. I Love You
中村 泰子 (vocal)
リン ヘイテツ (piano)
吉田 豊 (bass except 6)
村上 寛 (drums except 6)
2024年日本作品
レーベル:
LIVE at alfie
在庫有り
国内制作・三つ折り紙ジャケット仕様CD
VIDEO