CATFISH RECORDS

★スイス・シーンで活動し、過去リーダー・アルバムもPhilologyやUnit他から数多く発表している、以前はMarcos Jimenezの名でプレイしていたスペイン出身のキャリア豊富なピアニスト：アンドレス・ヒメネス(スペイン生まれ、スイスのジュネーヴ育ち)の、最得意のピアノ・トリオ体制によるスタンダード中心の一編。

★岩のような固さと骨太感そして濃い陰影を湛えた歯切れよく芯にブレなきソリッド・タッチのピアノが、バップ・ピアノのオーソドキシーに則った殺陣の型っぽい鋭角的ダイナミック・アクションと、アメリカン・スタンダード小唄演奏のルーティンを汲んだ洒脱でブルージーな寛ぎ節を掛け合わせ、更にそうした力学面と抒情面の双方にモード以降のスタイルも適所適量加えて上手くメリハリをつけた、トータルとしては現代流人情娯楽派ハード・バピッシュ・ピアノの正統らしいハートフルなアウトライン・イメージに破綻なく着地するメロディック・スウィンギン・プレイ、を溌溂と闊達そうに綴って何とも爽やかな華を成し、ドラム&ベースのシャープで敏捷性ある中々縦横無尽のサポートもノリとスリルを的確に高めた、全体を通じ至ってオーソドックスな躍動型リリカル快演が横溢してフレッシュに昂揚させ、また豊かな旨味を堪能させてくれる会心打内容。

★歌心とスイング感を何より大切にし、ブルース・フィーリング&バップ・スピリットも巧まず豊富に有した、ごくシンプルでスッキリとした青嵐が吹き抜けるかの如き親しみやすさ格別なエンタテインメント指向のポエティック・グルーヴィー奏演、がイキイキ朗々と愉しげに、晴れやかに展開してゆき、Hommage(b)やBrouze(ds)の安定律動性と自在な遊撃力・機動力を兼備した何げに芸達者で抑揚に富むバックアップにガッチリ支えられ、触発されながら、ヒメネス(p)の、腰を据えて結構真っ直ぐに突き進む正攻法勝負のアドリブ活躍が、ひたすら輪郭もクッキリと生鮮度抜群に見せ場を飾って誠に清々しい。

→スタンダード・ナンバーの数々をあくまでヒネらず素直に、ストレートに解釈しきって悔いなし、といった感じの、パウエルもしくはハンコック辺りの流れを汲んだハード・バップ・ピアノの本道を行く硬質ダイナミズム傾向と、エヴァンスやジャレット、L・ヤンソン辺りに底通するマイルド・ロマンティックだったり牧歌的フォーキー調だったりの詩人肌な文体、を大方の二本柱とし、レパートリー面も手伝ってか、よりオールド・ファッションめの軽妙小粋な歌物演奏の古典翻案めいた瀟洒で渋いアプローチや、ヨーロピアンならではの繊細で荘厳なエレガンスが発揮されたり(殊に#04辺りではそのスウィートな曲想とも相まってヨーロッパ色が強まる)などの転回もあって、按配よく色彩変化・表情変化が齎され、全体を俯瞰するとあくまでクセなくサッパリすきっとした幾分キャッチーでもある胸のすくテンダー&ハートウォーミングな哀愁浪漫滲む弾鳴キャラが陽気に、クリアーに立ち現れていて好感度満点だ。

01. It Could Happen To You
02. In Walked Bud
03. Someday My Prince Will Come
04. En La Orilla Del Mundo
05. God Bless The Child
06. Estate
07. Airegin
08. These Foolish Things
09. Night & Day
10. But Beautiful

Andres Jimenez (piano)
Blaise Hommage (bass)
Antoine Brouze (drums)

2023年12月1日-2日スイス-リュトリー(Lutry)のブレント・スタジオ(Blend Studio)録音

レーベル：TCB

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
スリーブケース仕様CD