★プログレッシヴ・ロックに強い影響を受けて十代から音楽活動をスタートさせ、ロックとフリー・ジャズ或いはロックとタンゴを自在に往来するなど、幅広いジャンルのミュージック・シーンを越境し続けながら即興と作曲の両面に究極の卓越ぶりを示してきた異能のギタリスト:鬼怒無月(1964年群馬県高崎市生まれの神奈川県藤沢市育ち)の、今作は、アコースティック・ギター1本のソロ演奏に専念し、8パートから成る組曲仕立ての完全インプロヴィゼーションに挑んだ野心的な一編。
★半メタリックなシャープネスやキレを呈すると同時に潤いっぽさや澄んだ透明感をも自ずと備えた、一音一音が力強く鮮明に響いて来、迫ってくる研磨されたトーンのギターが、ダイナミックに波打ちウネりながら哀愁や歓喜そして律動的グルーヴを切々と体現する、旋律&和声の美に溢れ中々豪快なノリも湛えたメロディック・アクション・プレイを分厚く紡いで、独特の"強靭な意志"そして"確信"を感じさせるエモーショナルな魅力を放った、殊の外フレッシュ・スリリングで昂揚感も絶えない雄渾の敢闘内容。
★ブルース・フィーリングや歌心には富むが所謂バップとは趣を違えた、フォーク・ロック或いはフォーク・ブルース(時にはスパニッシュ寄りなどのエキゾティックなアプローチも見せる)のインスト物、といった印象の、広義的にはジャズの範疇に入りそうなちょっと旅唄っぽくもある躍動型ブルージー熱演が、圧倒的気魄をもってパワフル&エネルギッシュに展開してゆき、何げに一音たりとも無駄がなく結構ドラマティックに構成された抒情指向のインプロヴィゼーションが、切迫感も充分に聴く者の胸をワシワシと揺さぶり、問答無用に感動させて全く素晴らしい。
★骨太く重厚感あるアクティヴなコーダル弾奏で押せ押せのストロング・グルーヴをしっかり醸成し、並行して、主に単音を使ったブルース哀歌風のフレーズもふんだんに盛り込んで憂いある繊細なロマンティシズムをも映し出す、という、そうした、強硬な勢いとセンシティヴな機微が表裏を成した基本は漢・剛たるタフ・リリシスト肌のスケールも大きい語り口には、理屈を越えた濃い覇気と説得力が認められ白眉。
組曲「Fauvisme」
1. part I
2. part II
3. part III
4. part IV
5. part V
6. part VI
7. part VII
8. part VIII
*all tunes improvised by Natsuki Kido
鬼怒 無月 Natsuki Kido (solo acoustic guitar)
2024年3月26日 東京・岡本太郎記念館(東京都港区南青山)での録音
レーベル:
Days of Delight
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国内制作CD