★伊ミラノを主たる拠点にグローバルな精力的活躍を続ける早ヴェテランの人気イタリアン・ピアニスト:アントニオ・ファラオ(1965年イタリアのローマ生まれ)の、今回は、ジョン・パティトゥッチ(b)&ジェフ・バラード(ds)と組んだまた強力なインターナショナル・トリオによる自作曲メインの一編。
★端正さと豪胆さを併せ持ち、また滑らかさと歯切れよさがひと繋がりとなった、表情豊かでメリハリに富む鮮明タッチのピアノが、モード系ハード・バップ・ピアノの正統らしい鋭角性&厚みある力学的敏捷アクションと、哀愁の歌謡性もしくはヨーロピアン詩人気質の浪漫傾向やエレガンス、をバランスよく掛け合わせたメロディック・スインギーにして甘すぎぬ絶妙の均衡点を保っての躍動的プレイを、精悍快活そして自由闊達そうに綴って中々雄々しく凛々しいきららかな華を成し、隙あらば主役の座を脅かす唄性満点のベースや縦横無尽に速射砲撃をカマしてくる機敏さ抜群のドラム、らの予断を許さぬ働きも奏効、三位一体の駆け引きやぶつかり合いによって圧倒的迫力とストロングなノリが徹底強化され、殊の外フレッシュ・スリリング&テイスティー・グルーヴィーな音空間がガッチリ創出された、何とも清々しい昂揚感が味わえる会心打内容。
★現代ハード・バップの本道ド真ん中を迷いなく突き進む、歌心とスイング感を何より大切にしたタフでパワフルな人情娯楽活劇の理想形とも云うべき骨太のダイナミック熱演が、気魄充分にイキイキと展開してゆき、随所で主役を喰う饒舌なまでの分厚いウネり波打ち攻勢をかけてくるパティトゥッチ(b)や、超スピードの疾走の中でこまめに落とし穴を仕掛けてゆくようなトラッピングなバラード(ds)、という両人の遊撃ぶりもしっかり濃い存在感で際立つ中、彼らと堂々五分に渡り合うファラオ(p)の腰を据え肝を据えて悔いなく全力を揮いきった力強いアドリブ奮戦が、雄渾のスケールと爽やかな感動溢れる映えを、キレを見せてゴキゲンだ。
→ザックリ捉えるなら先ずはハンコックやマッコイの流れを汲んだわりかし音数の多い、そしてヘヴィーウェイト感あるダイナミズム表現〜硬質パワー・アタック!で聴く者を理屈抜きに圧倒する逞しきアプローチを最得意の根幹としていて、頑と妥協ないところを見せ、転回としてバラード・ナンバー辺りではアメリカのジャズメンとは明らかに異なる欧州人ならではのブルース・フィーリングの活かし様、即ち、メロウ&スウィートに細かい機微を掬い取るかの如き半牧歌的フォーキー節であったりブルース小唄とクラシック・ピアノ的エレガンスを融和させたような荘厳フレージング、なども適所適量織り交ぜてヨーロピアンの矜持を示し、しかしトータルなアウトラインはあくまでアメリカン・メインストリーマー体質に近いド真っ当キャラに仕上げられる、という、そうしたバランス感覚や米産ストレートアヘッド・ジャズへの深い憧憬こそが魅力の要(原動力)となっている印象。
01. Tributes (6:19)
02. Right One (6:51)
03. Shock (6:53)
04. I Love You (7:30)
05. Tender (7:21)
06. MT (4:33)
07. Memories Of Calvi (6:36)
08. Syrian Children (4:58) (solo piano)
09. Song For Shorter (7:35)
10. Matrix (5:40)
Antonio Faraò (piano)
John Patitucci (bass except 08)
Jeff Ballard (drums except 08)
2023年7月26日フランス-パリのStudio de Meudon録音
2024年オランダ作品
レーベル:
Criss Cross
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在庫有り
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