★韓国の人気女性ジャズ・ヴォーカリスト:へウォン・ムーン=文慧媛(1984年生まれ、韓国・全州市出身)が本邦ハード・バップ・ピアノの重鎮:山本剛(1948年新潟県佐渡郡相川町生まれ)率いるトリオと組んだスタンダード中心の一編。
★澄んだ透明感や清潔感、爽涼な潤いの中に仄かに翳りをも垣間見せる、ニュアンス&旨味に富んだ中高音のクリーンな端麗ヴォイスが、先ずは何より歌詞の表す情緒とメロディーの美を一つ一つ丁寧に慈しむかの如き優しくハートフルなきめの細かい節回しを根幹とし、並行してジャズ・ヴォーカルならではの躍動的グルーヴ=バピッシュ・スウィンギンなノリの体現にも巧まずごく自然に身に染みついたような奥深いセンスを軽々発揮、トータルとしてはあくまでテンダー&デリケートなリリカル指向の個性にスッキリと着地させた洒脱派演唱を、声音そのもののしなやかな張りやキレを程好く呈した風合いも奏効しつつ柔和かつ幾分毅然げに綴って、何とも清々しく爽やかな華を成し、
一方、安定感ある堅固なタッチで豊富に機微を含んだ醸熟のファンキー・バップ・プレイを一弾一弾繊細にヴォーカルに寄り添いつつ繰り出す懐の広そうなピアノ以下、インスト陣のピタリとツボを心得た芸達者なサポートもテイスティーに魅力を際立たせた、全編明快温厚で親しみやすい人情肌ジャズ・ヴォーカルの鑑とも云うべき真心こもった妙演が続いて、小気味よくノセ、憩わせてくれる白眉の充実内容。
★演奏サイドの至ってオーソドックスな寛ぎハード・バップ快演に乗せての、インティメイトでリラクシングそれでいてしっかりグルーヴィーな、和気あいあいムードの軽やかにノる滑脱なる行き方が展開され、山本(p)の含蓄豊かでハートウォーミング&センシティヴな決して出しゃばらずヴォーカルを盛り立てる相手役ぶりも絶えずコク深く光る中で、花形主役ムーン(vo)の徹底して真っ当な晴々朗々たる歌いっぷりが、聴いていて思わず胸がスッとする感動と昂揚を殊の外生鮮に齎して、実に素敵だ。
→卓越したテクニック、抜群のリズム感を持ちながらいささかもヒネらずコネらずひたすら素直に、誠実真摯に分かりやすく取っ付きやすい抒情派エンタテインメントの本道を迷いなく邁進する、その語り口はマイルド&メロウでありつつ声鳴自体の適度に凛とした気っ風っぽさが効いて、ブライド&ポジティヴそして"まっすぐ"な爽快キャラに仕上がったそうした歌声のあり様は、誠にエモくて説得力も絶大。山本(p)の最良のリリシスト・メロディストたる姿を捉えた点でも大いに価値がある。
01. I Let A Song Go Out Of My Heart
02. Midnight Sun (vo & p duo)
03. In The Middle Of A Kiss※
04. Autumn Leaves※
05. Misty
06. Send In The Crowns (vo & p duo)
07. I Didn't Know What Time It Was
08. Girl Talk
09. I Got It Bad And That Ain't Good
10. Look To The Moon※
11. A Cottage For Sale (vo-p-b trio)
12. Twisted
※CD限定収録曲
MOON (Haewon Moon ヘウォン・ムーン 文慧媛) (vocal)
山本 剛 Tsuyoshi Yamamoto (piano)
香川 裕史 Hiroshi Kagawa (bass except 02, 06)
チッコ ソウマ Chicco Soma (drums except 02, 06, 11)
2023年11月27日〜12月1日Studio Tanta & 54itstudio録音
レーベル:
Somethin’ Cool
※本作はシングルレイヤー仕様のSACDとなります。SACD対応機器でのみ再生できます。
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国内制作SACD (シングルレイヤー仕様)