★辛島文雄や内田浩誠に師事し、2001年より福岡を拠点にジャズ・ピアニストとしてプロ活動を行なってきた北九州市出身の個性的才媛:浮城久美子の、トリオによるセカンド・アルバム。
★歯切れよく骨太い、鋭角性や硬質感に富みながら端正さ&軽涼さを垣間見せるところもある、中々ニュアンス豊かな明晰ストーン・タッチのピアノが、精悍で勇ましい殺陣アクション風の迫力満点なダイナミズム攻勢であったり、スマート&メロウ・テンダーな寛ぎボッサ節であったり、小粋さとライト感覚を強めた流麗アーシー・フレージングであったり、かろみの中に漆黒のソウルを潜ませた結構濃い吟醸的アプローチであったりと、表情多彩にして根底にはブルース&バップそしてモードのスピリットが確固と脈打った、哀愁と美メロの宝庫たる正攻法の人情娯楽肌プレイを躍動感も十二分に意気溌溂と綴って清々しい魅力を放ち、シャープにパンチ・キックを突き入れてくるドラムやこってりコク深く雄弁なベース、らの緩急柔剛心得たフレキシビリティ抜群のサポートも鮮やかにツボにハマッた、全編至ってオーソドックスな真っ向勝負の進撃が丹念さをもって快調に続いて、スカッと、或いはスッキリと爽やかに胸のすく昂揚感と旨みが味わえる会心打内容。
★歌心とスイング感に重点を絞り、ブルース・フィーリングも潤沢に備わった、現代流ハード・バップ系ピアノ・トリオの本道ド真ん中たる親しみやすい活劇調のリリカル・エンタテインメント快演がイキイキと展開され、山村(b)や北原(ds)のわりかし自己主張が強く存在感充分の機動的バックアップに上手く触発される恰好で、浮城(p)の、直球に徹したダイナミック&テイスティー・グルーヴィーなアドリブ奮戦が芳醇かつハートウォーミングに冴え渡り、晴れ晴れと盛り上がりを見せてゴキゲンだ。
→オリジナル曲の曲調やその演奏にあたっては幾分コンテンポラリーめのモード・カラーが際立つが、しかしモードとは云っても暑苦しさやアクっぽさとは無縁のセンスよく品のいいクール・エレガントなモード奏法の活用にほぼ終始している、その巧まずして制御され、節度をわきまえた折り目正しい所作動静には大いに好感が持てるところであり、一方既製曲の多くではちょっと手癖の如くレッド・ガーランド辺りに底通する軽やかなコードワークを生かした洒脱め"ファンキー・バップ"手法が的確に揮われていて(これがやはり地か)、こちらもイキな吟醸感たっぷりだったりと、そうした、衒いやケレンを排した殊の外ド真っ当、殊の外誠実で素直な芸風(並びに豪快大胆さと繊細慎重さの配分匙加減・切り換えの妙〜バランスの取り様)は心洗われ胸躍らされる朗らかなる趣があり説得力も絶大。
01. BREAK!
02. Be My Love (Nicholas Brodszky)
03. Rain Then Snow
04. Shiny Stockings (Frank B. Foster)
05. 月が泳ぐ川
06. Danger Zone
07. 神無月
08. I Wish I Knew (Harry Warren)
09. Minato Mirai
10. When Can I See You?
11. Milonga (Anders Person)
12. Harukasumi (solo piano)
浮城 久美子 (piano) (composition on 01,03,05-07,09,10,12)
山村 隆一 (bass except 12)
北原 和夫 (drums except 12)
2022年7月12日神奈川県川崎市スタジオハピネス録音
2022年日本作品
レーベル:
UkiKumi Records (
自主製作 )
在庫有り
紙ジャケット仕様CD
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