★ストックホルムの王立音楽院やヘルシンキのシベリウス・アカデミーに学び、フィンランドのジャズ・シーンで活躍、以前RockAdilloやBlue Gleamよりのトリオ作品が好評を得ていた中堅ピアニスト:ヨーナス・ハーヴィスト(1982年生まれ)の、今回は、リトアニア出身のサックス(ソプラノ&テナー)奏者:ケスタティス・ヴァイギニス(1978年生まれ)とのデュオによる一編。
★きめ濃やかで端正かつ力強い鋭角的キレをも備えた重心にブレなき精確巧緻な骨太鮮明タッチのピアノが、奥深い哀愁や詩情、ロマンティシズムを甘美に映し出すと同時にバップやブルースの要素も自ずと潤沢に盛り込んだ、バランス絶妙の半メランコリックなメロディック・プレイを中々歯切れよく綴って典雅そしてグルーヴィーに妙味を揮い、一方、しっかりと芯の通った堅固なトーンでシャープ&スムースにさえずるかのような憂きソプラノ吹鳴、もしくは渦巻くが如きハード・ドライヴ感溢れる重厚テナーのブルージー咆哮、もピアノとは上手くコントラストを成しつつテイスティーな魅力を放った、全体を通じ現代ユーロ系抒情派ならではの折り目正しいたおやかさとオーソドックスなハード・バピッシュ傾向とが妙なる均衡具合を見せる好演内容。
★インティメイトな和気や親密さとシャキッと背筋の伸びた凛々しさや鋭い緊張感、がごく自然に融和した、何より歌心とスインギーなノリを重んじる美メロの宝庫たる抒情指向妙演、が敏活滑脱に展開され、録音効果・整音効果もあってヒンヤリした冷気〜クールな空気感が漂い続ける道程の中で、ハーヴィスト(p)の壮麗なジェントルマンぶりやヴァイギニス(ss,ts)の牧歌詩人でありバッパーでもある立ち働き、が藹々たる友好ムードをもって清新な冴えを見せており爽快だ。
★ハーヴィスト(p)の、デリケート&テンダーで微妙に翳りがよぎる風な物憂き浪漫描写が何とも味わい深遠で、その筆致にはヨーロピアン特有の文芸重視姿勢や荘厳なエレガンスも認められるものの、決して内省的になることなくバップ&ブルースの語法も活かして分かりやすい明快娯楽性の枠内に留まって見せる、という、そうした歯止めの掛け様が巧まざるものか考え練り抜かれたものかは判断し難いが、ともかくその"均整"にこそ本領を感じさせる弾鳴は誠に鮮麗で(エレピでの幻想的な繊細グルーヴ技も◎)、かたやヴァイギニス(ss,ts)の、テナーに持ち替えると一挙にハード・バップ色が増すけれども、メインのソプラノでは徹底して欧州流の風雅な吟遊詩人になりきったアンニュイ妙技もまた見事。
1. Miyako (p-ss)
2. Waiting (p-ss)
3. Opener (p-ss)
4. Zenobia (p-ts)
5. One Of Those Full Moons (elp-ss)
6. Bonus Track (p-ss)
7. Lush Life (p-ts)
8. Random Moments (elp-ss)
Joonas Haavisto (piano except 5,8) (electric piano on 5,8)
Kestutis Vaiginis (soprano saxophone except 4,7) (tenor saxophone on 4,7)
probably 2022年10月18,19日ノルウェー-オスロのRainbow Studio録音
2023年作品
レーベル:
Eight Islands Records
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国内盤セミW紙ジャケット仕様CD