★多方面で精力的に辣腕を揮い続けて大いに円熟したところを見せている本邦モダン・ベースの最高実力者の一人=オールラウンド・ヴェテラン名手:井上陽介(1964年大阪府豊中市生まれ)の、過去の2作品も大好評だった武本和大(p)&濱田省吾(ds)との鉄壁トリオによる、今回は渋谷のBody & Soulでのライヴ編。
★バネとウネりを利かせて鋭く跳躍しつつブルージーに唄うベースの重心のしっかり据わったテイスティー・スイングぶり、にも随所でスポットが当てられてコク深い聴きどころを創出する中、硬質骨太で歯切れのいいクリアーネスを呈したピアノの歌謡性溢れるダイナミック&メロディック・プレイが鮮度抜群の華を成し、隙あらば主役の座を奪取せんと大攻勢を掛けてくるベースの追撃や、シャープかつ敏捷に精緻な律動を見せながらそこかしこで意表も衝いてくる機略縦横なるドラムのアタック、も各々しっかりデリシャスに好アクセントを形作った、全体を通じピアノとベースの愉しげな鬩ぎ合いが奏効して色彩感豊かな流れをノリよくもフレッシュ・スリリングに楽しませる、中々の濃密内容。
★編成は所謂ピアノ・トリオだが井上(b)がリーダーだけあってベースのソロが多め、と云うよりも殆どピアノとベースの二人主役体制っぽくも感じさせる、基本はあくまで歌心とスイング感にポイントを絞った躍動パワーも満点のリリカル・バピッシュ熱演、が精悍軒昂に展開され、井上(b)の、温もり豊かに"美旋律の宝庫"然と大波を押し寄せさせるが如き攻めた勇躍と、これに負けじとハイ・テンションに全力で拮抗する武本(p)、の迫真スリル十二分にして和気あいあいの主役争い〜ソロ合戦が、中身のギュギュッと詰まった豊饒な盛り上がりを示してゴキゲンだ。
★武本(p)の、「バップ+アーシー+ポップな歌性」的スタイルで驀進するソリッド感充分の旨口スウィンギン技が、時折ストライド奏法なども織り混ぜながらキレ&吟醸味ある冴えを見せている他、時にはモード色を強めてマッコイやハンコックに倣った風な力学的大アクションを炸裂させて猛々しくアグレッシヴな魅力も堂々放ったりと、現代流ハード・バップ・ピアノの正統らしいそうした活躍がスカッと、そしてスッキリと清新に奮っており、一方井上(b)の、キッチリと精確に規則正しくハード・ドライヴィングな波打ちを成すのと並行して、ちょっと豪快なまでに朗々と歌いに歌いまくる醸熟メロディアス至芸を至る所でカマしてくる、そのただならぬポジティヴな覇気をみなぎらせた猛ハッスルの様も実に圧倒的で降参。
★ラストでパーカッシヴな大暴れを見せる濱田(ds)の奮戦も好インパクト。
1. Stella By Starlight ステラ・バイ・スターライト (Victor Young)
2. Day Tripper デイ・トリッパー (John Lennon & Paul McCartney)
3. Colorful Wind カラフル・ウィンド (Kazuhiro Takemoto)
4. One Step Beyond ワン・ステップ・ビヨンド (Yosuke Inoue)
5. Blackbird ブラックバード (John Lennon & Paul McCartney)
6. What Is This Thing Called Love ホワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラヴ (Cole Porter)
7. Dear Daddy ディア・ダディ (Kazuhiro Takemoto)
8. Fungii Mama フンジ・ママ (Blue Mitchell)
武本 和大 Kazuhiro Takemoto (piano)
井上 陽介 Yosuke Inoue (bass)
濱田 省吾 Shogo Hamada (drums)
2023年10月27日Body & Soul(東京都渋谷区宇田川町)でのライヴ録音
レーベル:
Pony Canyon
在庫有り
国内制作CD