★また一段と熟味を増した絶好調の驀進が続く現代正統派ハード・バップ・テナーの筆頭横綱スター:エリック・アレクサンダー(1968年米イリノイ州ゲイルズバーグ生まれ)の、今回は、リック・ジャーマンソン(p)参加のカルテットを基本に一部ではゲスト陣も加わって来つつの一編。
★引き締まっていながら自然体の脱力感も巧まず湛えた、何ともイイ味のある音色のテナーが、決してリキまず流れに身を任せるような調子でごく滑らかに渦巻きウェイヴを描くが如き、歌謡フィーリングにも溢れたメロウ・ドライヴィング・ブロウをしかし骨太さや重厚感をもって悠然と、かつ丹念に繰り出して、雄渾のスケールと包容力そして温もり+旨味に満ちた懐深い華を成し、硬質で歯切れよく角張った陰影豊かなダイナミック・アクションで粛々とこれを盛り立てるピアノの堅牢プレイ以下、リズム・セクションのツボを心得たサポートも頼もしくテイスティーに魅力を際立たせた、全編今日流ハード・バップの本道ド真ん中を突き進む直球演奏が続いてスカッと爽やかに胸躍らせ、豊かな吟醸感を満喫させてくれる安定安心の会心打内容。
★歌心とスイング感に潔く重点を絞った、ごく親しみやすい人情肌娯楽路線=大衆派エンタテインメントの鑑とも云うべき正攻法勝負のリリカル・バピッシュ快演、が嬉々溌溂と愉しげに展開され、堅実で精緻なリズム隊の助演やアーシーなフルート&ギターが入ってきたり2テナー・バトル曲(あとCD版のみ女性ヴォーカル入りも)もあったりとゲストの参加で上手く変化を持たせた流れの演出、も新鮮に光る中で、アレクサンダー(ts)のひたすら伸び伸びと当セッションに興じきる、といった感じのポジティヴな気概に満ち真っ向から咆哮しまくる、即ち、どこまでも大きく歌い大きくスイングする至ってナチュラルな旨口インプロヴィゼーションが、さすがはよく熟した超芳醇な冴えを見せて全くゴキゲンだ。
→バップとモードの間を行き来しながらドライヴ感も満点にタフでデッカいメロディック節を太々と紡ぐその、豪快でありながらデリカシー(〜機微)や余裕、一定の節度を失うことのない徹頭徹尾スムースでまろやかな流線形的吹鳴のあり様は、音そのものに宿る圧倒的スター性も手伝って逞しくも暖かな心地よく胸に染み入る余情に富んだ無双の妙味をチョチョイのチョイと揮いきっていて卓越しており、一方ジャーマンソン(p)の、バップ的殺陣ワザやモーダルな力学攻勢、小粋で渋いファンキー手法を適所に使い分けて見せる中々精確巧妙な抑え役ぶりもこれまた秀逸。
1. After The Rain (5:32)
2. But Beautiful (7:40)
3. Serenade To A Cuckoo (6:20)
4. Big G's Monk (4:56)
5. Sasquatch (3:21)
6. Misty (9:23)
7. Timing Is Everything (8:43)
8. Evergreen (5:12)
9. Someone (5:46)
Eric Alexander (tenor saxophone)
Rick Germanson (piano)
Alexander Claffy (bass)
Jason Tiemann (drums)
guests:
Jed Paradies (flute on 3)
Rale Micic (guitar on 3)
Stan Wetering (tenor saxophone on 4)
Alma Micic (vocal on 8)
2023年4月9日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studio録音
(engineered by Maureen Sickler)
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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見開き紙ジャケット仕様CD