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ウォーム&ブルージーな吟醸的トロンボーンと一糸乱れぬ精緻なビッグ・バンドの作劇構成的アンサンブルとが巧妙に噛み合う大河ストーリー風の雄渾世界 CD MARSHALL GILKES and THE WDR BIG BAND マーシャル・ギルクス & ザ・WDR・ビッグ・バンド / LIFESONGS [ASR 017]

販売価格: 2,580円(税込)

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★マリア・シュナイダー・オーケストラのレギュラー等を経てドイツの名門楽団:WDRビッグ・バンドの常任メンバーとなって活躍、メンバーを抜けてからもWDRとのコラボ&レコーディングを着々と重ね、また自己の小コンボで当Alternate Side Recordsから気合の入ったアルバムも発表していた、オールラウンドな作編曲家肌のトロンボーン名手:マーシャル・ギルクスの、WDRビッグ・バンドとのコラボによる最新(3作目か)の一編。

★ピタリと精緻に息の合ったメリハリ&色彩感そしてスケール感ある巨大建築の如きビッグ・バンドの雄渾アンサンブルが、大河的ストーリーを紡ぐようにドラマティックな道筋を形作る中で、温もりとファンキー・ソウルに満ちた吟醸的トロンボーンを始め、アーシーでパッショネートな熱気&躍動感みなぎるアルトや、端正で歯切れよくもイキなブルース・フレイヴァー溢れる骨太ピアノ等々、厳選されたソロイスト達の活躍が実に華々しく見せ場を飾ってゆく、全体を通じ緻密に練り込まれたフレッシュな意表性もあるアレンジ・構成の巧妙さと、そうした予定調和の設計図から時としてはハミ出し爆発もするソロイストの個性豊かな立ち働き、の上手い兼ね合いで清新味を途切れさせることなくスリリング・グルーヴィーに愉しませる会心打内容。

★先ずは何よりギルクス考案による入り組んでいながら難解さのない作編曲面の意匠(〜周到を極める構造的な魅力)とコンダクト手腕が文句なく卓越しており、今日流らしくリズム・スタイルは多岐に渡った現代ハード・バップ・ジャズの大型化、的な枠組の中でひたすらスカッとした娯楽活劇風の進撃が続き、一つ一つの曲が山あり谷ありの物語っぽい趣を呈する展開の途上、ギルクス(tb)を筆頭とするソロ担当者達の、曲想に沿って"役"を演じるドラマツルギー重視の行き方と、伸びやかに燃える振り切った個性の発揮ぶり、とをバランスよく織り混ぜたアドリブ奮戦が殊の外豊饒なる盛り上がりを見せていて、全く壮快だ。

★ギルクス(tb)の、ダウン・トゥ・アースな濃い旨味と柔和なウォームネスに貫かれた、徹頭徹尾ジェントルに立ち居振る舞うブルージー・バピッシュ・スタイルの真髄然としたプレイがとりわけコク深くテイスティーに映え渡っていて傑出しており、またギルクスに次いで出番の多いビリー・テスト(p)の、折り目正しく小粋に和み節を綴っていたかと思えば次第にエキサイトしてきて爆裂的な暴れ馬にも豹変する中々落差の烈しい勇躍や、ヨハン・ヘルレン(as,ss他)のアルトではブルース・テイストとアグレッシヴさの掛け合わされた威勢のいいブロウを、ソプラノではリーブマンばりのモーダル・エネルギッシュなシリアスめアタック!をかけてくる猛々しい立ち回り、更には、Andy Haderer(tp他)のしっとり豊潤でまろやかな風合いを呈しつつ落ち着いた優しい耽美派ロマンティストの本領を揮うフリューゲルでのバラード吹奏、そしてパウル(ポール?)・ヘラー(ts)の泥臭さをほとばしらせながらハード・バップ・テナーの権化たるところを堂々と披露するちょっとホンカーっぽくもある豪快咆哮、といった辺りにもそれぞれ忘れ難く含蓄に富んだ妙味があり、個人プレーの名場面はこの上なく充実している。

1. Fresh Start (7:06)
Marshall Gikles - trombone
2. Back In The Groove (9:47)
Johan Hörlén - alto saxophone, Billy Test - piano
3. Cora's Tune (9:37)
Marshall Gilkes - trombone
4. My Unanswered Prayer (6:58)
possibly Marshall Gilkes - trombone, Billy Test - piano
5. All The Pretty Little Horses (7:54)
Sabeth Pérez - vocal, Johan Hörlén - soprano saxophone, Billy Test - piano
6. Middle Ground (10:23)
Ludwig Nuss, Raphael Klemm, Andy Hunter, Marshall Gilkes - trombone
7. Sin Filtro (9:26)
Marshall Gilkes - trombone
8. This Nearly Was Mine (6:27)
Andy Haderer - flugelhorn
9. Sugar Rush (6:45)
Paul Heller - tenor saxophone, Marshall Gilkes - trombone

*all selections composed and arranged by Marshall Gilkes except #5: traditional and #8: composed by Richard Rodgers and Oscar Hammerstein II

Marshall Gilkes (trombone, composition, arrangement, conductor)
Andy Haderer (trumpet, piccolo trumpet, flugelhorn)
Wim Both (trumpet, flugelhorn)
Rob Bruynen (trumpet, flugelhorn)
Ruud Breuls (trumpet, flugelhorn)
Ludwig Nuss (trombone)
Raphael Klemm (trombone)
Peter Hedrich (trombone)
Andy Hunter (trombone on 6)
Mattis Cederberg (bass trombone, tuba)
Johan Hörlén (alto saxophone, soprano saxophone, flute, clarinet)
Pascal Bartoszak (alto saxophone, flute, clarinet)
Ben Fitzpatrick (tenor saxophone, clarinet)
Paul Heller (tenor saxophone) (clarinet on 6)
Jens Neufang (baritone saxophone, bass clarinet)
Billy Test (piano)
John Goldsby (bass)
Hans Dekker (drums)
Sabeth Pérez (vocal on 5)

2022年11月11,14,15,16日ドイツ-ケルンのthe WDR Funkhaus Studio 4録音

レーベル:Alternate Side Records

在庫切れ
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三つ折り紙ジャケット仕様CD


商品情報

★マリア・シュナイダー、ニューヨーク・フィル、スライドモンスターズ...etc. NYC を中心に活躍する現代屈指のトロンボーン奏者マーシャル・ジルクス! グラミー賞にノミネートされた『Köln』『Always Forward』に続く WDR との共演第3弾

★本年2023年はエドマール・カスタネーダ・トリオのメンバーとしても来日。
超絶の演奏と、今を生きる音楽家としての視点をテーマとした屈指のアンサンブル・サウンド!

★「絶えず、“信じられない”と、わたしの口をぽかんとさせ、目と耳を疑うほど、すごいプレイをみせるミュージシャン」 〜マリア・シュナイダー

★マリア・シュナイダーが「絶えず、わたしの口をぽかんとさせ、信じられないと、目と耳を疑うほど、すごいプレイをみせるミュージシャン」と表現し、長年にわたって、彼女のオーケストラで活躍。また精鋭が集ったトロンボーン四重奏団スライド・モンスターズや、ニューヨークフィルといったクラシックのフィールドでも名を馳せ、本年 2023 年はエドマール・カスタネーダ・トリオのメンバーとして来日して、熱い注目を集めた現代最高峰のトロンボーン奏者、マーシャル・ジルクスによる最新作品。

★本作はリーダー作として8作目、世界屈指の名門ビッグ・バンド、WDR ビッグ・バンドとの3作目の作品となる。WDR での演奏は今からさかのぼること 10数年前。ジルクスは、2010年、数週間にわたる長いオーディションへの招待を受けたのち、正式なメンバーとして加わって、4年間、正規メンバーとして在籍。2013年12月には最後のコンサートを行ったが、バンドのプロデューサーの依頼で、翌月、送別コンサートのために再びドイツに戻り、その演奏は『Köln』となってリリース。また、2017年に再びの機会を得て『Always Forward』を制作。この 2 作はともにグラミー賞にノミネートされ、世界的に評価された。

★そして本作はバンド・マネージャーArnd Richter が再びの共同プロジェクトを企画し、ジルクスの快諾の元にスタートを切った。時を重ね、一作ごとに関係が深まっているのはもちろんのことながら、興味深いのは 2022年の夏、その準備をするうちに明確になったテーマでもある。 “曲の多くのテーマが、自らの今日の生活や世界で起こっていることと直接関係している”というジルクスは、2022年5月、「個人的な日常、最も身近なものを熟考することでたどり着いた」と語る『サイクリック・ジャーニー』を録音。そこでは、NY という都市を中心として精力的に活動する音楽家であるとともに、家族と暮らす一人の人としての内的なものを見つめ、組曲として描き出した画期的な作品を創り上げている。本作はそこからの延長線をたどるものも見える。

★作品は華麗なブラスとトロンボーン・ソロが快活に響き合う M1「Fresh Start」、ブラッド・メルドーの『Day is Done』収録の「50 ways to leave your lover」からインスパイアされたというミニマルなドライヴ感があふれる M2「Back in the Groove」で幕開け、コロナ・パンデミックを経ての再出発を鮮やかに描き出す。一方、M3「Cora’s Tune」は自らの娘のために書いた楽曲。これまで、スライド・モンスターズでのトロンボーン・アンサンブルやトリオで演奏してきたが、新たなオーケストレーションを施した演奏は、優しさと柔らかさがより印象的になった。つづく M4「My Unanswered Prayer」はアメリカ銃社会への切実な思いを描いた曲。荘厳な中に不協和音を交えたアンサンブル・サウンド、慎ましやかなトロンボーンとピアノのソロには、静かでありながら、強い祈りがあふれる。他トラッド・ソングをアレンジ、ジルクスにとっては初めてシンガーとラージアンサンブルとの譜面を書いたという楽曲 M5「All the Pretty Little Horses」は、空軍士官学校のバンドが子供向けの曲を書いてほしいと依頼してきたことをもとに、自らの母親が子供達に歌っていた子守唄を思い起こして書いた曲。また唯一のスタンダード・ナンバーM8「This Nearly was Mine」はチック・コリアのソロアルバム『Expressions』で聴いて以来、ずっと愛し続けてきたという曲。スロー・テンポの中、柔らかなアンサンブルとフリューゲルの音色は美しいバラードとして完成度が高い。CD のラスト M9「Sugar Rush」は尊敬するボブ・ブルックマイヤーへのリスペクトを見せる。

★9トラックの合計は 74分を超える。しかし、緻密、かつ多様なアンサンブル、卓越のソロ演奏に加えて、思いがこめられた楽曲と演奏は、長尺であることを全く感じさせることがない。振り返ると WDR との第 2作『Moving Forward』は、政治的な状況やソーシャルメディア、そのほか、現代におこる様々な変化を憂慮しつつ、常に前進、持続していくという意思を表現したもの。今作は、その後に起こったコロナ・パンデミックという衝撃の時を経て、内省的なものも加わり、表現の深化も進んだ。

★デジタル版では、この 9トラックに加え、さらに 2曲を追加。超絶のテクニックと共に、今を見つめて生き、音楽的な探求と創造的な冒険を持続するジルクス。その音楽は同時代に生きる人々へのギフトともなって響く。

Recorded November 11th, 14th, 15th and 16th 2022 in the WDR Funkhaus Studio 4, Cologne, Germany
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