CATFISH RECORDS

★当初はエレキベースでロックやパンクに没頭していたが、18歳の時に甲陽音楽学院に入学してジャズに出会いジャズの道へ入りウッドベースを弾くようになり、2004年頃よりプロ活動を本格化、関西シーンで活躍し竹田一彦(g)や大塚善章(p)らのサイドで英才を発揮、やがて2014年には拠点を関東へ移し、ジャズ畑のみならずテレビドラマの挿入歌の作詞・作曲を手がけたりなど多方面で精力的に辣腕を揮っている実力派中堅ベーシスト：宮上啓仁(1982年生まれ、神戸出身)の、ファースト・アルバムとなる今作は、熊谷ヤスマサ(p)&中村海斗(ds)とのリズム・セクションを不動とし、全8曲中前半4曲では広瀬未来(tp)&柏谷淳(as)の2管、後半4曲では谷殿明良(tp,flh)&江澤茜(as,fl)のこれも2管が加わってくるという、2種クインテットによる一編＝自作曲集。

★バネを利かせて中々勢いよく波打ちウネる律動力とドライヴ感に満ちた肉太ベースの温かで雄弁なスイングぶり、にガッチリ頼もしく支えられながら、シャープな爆裂性一杯だったりよりまろやかなソフトネスを湛えていたりの精悍トランペットや、ある時は熱血エモーション全開またある時は柔和でキャッチーな歌謡性も発揮するアルト、ソリッド&スクエアーに苦味走った殺陣の型っぽいアクションを毅然と繰り出していたかと思えば一転ブルージー・ポップなグルーヴ節をノリノリでキメたりもする芸達者ピアノ、らが色彩感も鮮やかに旨味たっぷりの充実した見せ場を繋いでゆく、全編現代流2管ハード・バップの鑑とも云うべき歯切れよくスカッとした邁進が続いて、壮快に昂揚させてくれる会心打内容。

★歌心とスイング感にポイントを絞り、伝統的なブルース&バップの精神・感性も潤沢に備わった、今日型ストレートアヘッド・ジャズの理想形たる明快娯楽アクション活劇風のダイナミック・グルーヴィー熱演がイキイキと展開してゆき、爽やかな青嵐が吹き抜けるかのような開放感溢れる溌溂闊歩調の道程の中で、前半ではある種の威勢や疾走感・切迫感を際立たせた真剣勝負の態、後半では比較的落ち着いたリラクゼーションを伴いつつしかし結構粘っこくもある吟醸味濃い趣、といった具合にメンツが変わればトータルなアウトライン・イメージも微妙に味わいを違えながら、銘々のいずれも千両役者然とした華のあるアドリブ奮戦がばっちりテイスティーに盛り上がりを見せてゴキゲンだ。

★広瀬(tp)の、ピリッとした凛々しいハードボイルドさを身上としたキレ味抜群の鋭利咆哮(バラードにおいても剃刀の如き圧倒的シャープネスを保持)や、谷殿(tp,flh)の硬派で渋くも包容力やゆとりを多分に感じさせるコク深い醸熟プレイ、柏谷(as)のひたすらホットでエネルギッシュ&アグレッシヴな直情型っぽい暴れ吠えっぷり、江澤(as,fl)のちょっとキャノンボール・ライクなファンキー・テイストをみなぎらせての小粋ブロウ、と、管楽器陣の対比〜劇的コントラストのあり様が何より興趣豊かだが、その一方で、さりげなく表情多彩に抑え役を担う熊谷(p)や、超絶ハイテクニカルにしてドシャバシャ猛々しく(騒々しく?)迫る中村(ds)、そして全体を優しくハートウォーミングに包み込むが如き穏やかな宮上(b)ら、リズム・セクションの濃やかなバックアップもしっかり芳醇に光っている。

1. French Girl
2. Draw
3. Because Frogs Are Croaking
4. The Moment Of Change
5. Erase
6. From Nightfall Till Dawn
7. Recipient
8. Sentence
＊all music composed & arranged by Hirohito Miyagami

広瀬 未来 (trumpet on 1, 2, 3, 4)
谷殿 明良 (trumpet on 5, 7, 8) (flugelhorn on 6)
柏谷 淳 (alto saxophone on 1, 2, 3, 4)
江澤 茜 (alto saxophone on 5, 7, 8) (flute on 6)
熊谷 ヤスマサ (piano)
宮上 啓仁 (bass)
中村 海斗 (drums)

2023年5月23日Pastoral Sound(東京都世田谷区奥沢2丁目)録音

レーベル：206LAB. (本人の自主製作?)

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国内(自主)製作デジパック仕様CD