★ジョニー・グリフィンやルイ・スミスのサイドで名を上げ、Criss CrossやDIW、SteepleChase、Sintra、Cellar Musicよりのリーダー作群にも好評を集めてきた、NYシーンで40余年来活動する正統派のヴェテラン・ピアニスト:マイケル・ワイス(1958年米テキサス州ダラス生まれ)の、今回は四半世紀ぶりとなるピアノ・トリオでの一作。
★重厚で強固堅牢な、歯切れよい硬質さと自然に流れる滑らかさを併せ持ち、独特の陰影やスモーキー感を湛えた、岩石を転がすが如きストロング・タッチのピアノが、骨太くカクカクと角折れするような伝統的バップ・イディオムを根幹に据え、よりマイルド&ハートウォーミングな歌謡的メロディック・フレーズも適宜加味、トータルとしては雄々しく凛々しい精悍なハードネス〜タフネスを損わぬ形でまろやかめの人情味がブレンドされた、歯応えと旨味充分の明朗プレイを敏活に紡いで、ごく親しみやすくテイスティーな魅力を放ち、黙々と精確にウネりドライヴするベースや、幾分騒々しくドシャバシャと饒舌に迫るドラム、らの機動的サポートもおいしいアクセントを成しつつ頼もしくツボにハマりきった、全体を通じあくまで正攻法な直球ハード・バップ快演が続いて、シンプルにノセてくれる安心安定の会心打内容。
★歌心とスイング感に重点を絞り、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと豊富に有した、硬派王道にして気さくそうな大衆娯楽性溢れるどこまでも真っ直ぐなダイナミック・スウィンギン驀進、がイキイキ溌溂と展開され、軒昂で勇壮な逞しき覇気や迫力とインティメイトな和気あいあいさや温もりが巧まずナチュラルに同居した、風通しもよさげな結構キレのある道程の中で、シキヴィー(b)やファン・ノストランド(ds)の手堅くも芸達者な何げによく鍛えられ練られたバックアップにガッチリ支えられ、触発されながら、ワイス(p)の腰を据えて一切の衒いやケレンを排し肩肘張らず誠実真摯に粛々と唄い、躍動するスクエアー&ストイックなアドリブ妙技が中々にシブ〜い豊作ぶりを呈してゴキゲンだ。
→パウエル〜B・ハリス系統のバップ・ピアノの基本たる殺陣(の型)風のダイナミズム表現と、ハンコックやマッコイのスタイルを消化したスマートなモード奏法、の両方を使いこなすが、比重は圧倒的に前者に置かれ(後者は技巧として、転回としての活用にとどまる印象)、そこへ程好くソフト・スウィートな歌的フレージングやアーシーなブルース小節も適所適量盛り込み、アウトライン的にはちょっと職人気質っぽい律儀一徹な制御・抑制の利いた"粋渋の極み"とも云うべき燻し銀的弾鳴キャラがしっかりと重みをもって打ち樹てられており、そのわりかし頑固そうで骨芯の据わった個性のあり様は何ともコク深くて説得力も格別。
01. Un Petit Quelque Chose
02. Hale-Bopp
03. I'll Remember April
04. The Griffin
05. Homage
06. Suddenly
07. We Love Horace
08. Skylark
09. Lullaby Of The Leaves
10. A World Away
11. An Oscar For Treadwell
Michael Weiss (piano)
Paul Sikivie (bass)
Pete Van Nostrand (drums)
2023年4月2日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのWill and Norah's House録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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