CATFISH RECORDS

★セントルイスからニューヨークへ進出して精力的に活動し、先頃はPosi-Toneのグループ企画=Something Blueの一員としても大いに気を吐いていた、ジュリアード音楽院でジャズサックスの講師も務める新世代のテナーサックス奏者：ウィリー・モリスの、アルトサックス入りクインテットを基本とした初リーダー・アルバム。

★滑らかで丸みを帯びた渦巻きウェイヴを描くような流麗さ・軽さを湛えるのと並行して、ドスを利かせて重厚に吠え叫ぶが如き壮烈さも兼ね備えた雄々しきトーンのテナーが、ソフト・スムースな脱力型・波乗り調子のマイルド・スタイルと、コルトレーンの流れをストレートに汲んだ中々凄絶なアグレッシヴ咆哮ワザ、とを場面に応じて使い分けたドラマティックなメリハリある、トータルとしては猛々しい男気が勝った印象のダイナミック・プレイを屈強げに綴って、タフガイ然と勇ましき華を成し、そうした主役テナーの漢たる芸風に足並を合わせてか甘さ控えめの硬質的アプローチでこれを追いかけるアルトやピアノの抑制ある活躍も、鮮烈で頼もしい彩りを添えた、全編今日流の硬派筋モーダル・バピッシュ・ジャズの正統らしい精悍敢闘が続いて、壮快かつリアル・スリリングに興奮させてくれる、迫真白熱のエキサイティング内容。

★意気軒昂で凛然毅然とハードボイルド・アクションの道を突き進む、雄渾の鋭気に満ちながら歌心も過不足なく備わった、大凡は陰影濃くビターな味わいの妥協なきスウィンギン熱演が堂々展開してゆき、雄弁にウネるベースや多彩で多角的なゲリラ攻勢を掛けてくるドラムなど、リズム陣の瞬発力と機略縦横の遊撃性に長けた猛襲に上手く触発される恰好で、モリス(ts)の苦味走ったダーク&グルーヴィーなアドリブ奮戦が揺るぎなく確固たる魅力を、冴えを、キレを示して出色だ。

→グリフィン〜コルトレーン系統の太く分厚いヴォルテックス・スタイルを出発点に、更にダークネスを強化してスティーヴ・コールマンやグレッグ・オズビー、ゲイリー・トーマス辺りに接近させたようなイメージの、甘さを排したノワール&ミステリアスな迷路の如き滑脱なる吹きっぷりは誠に鮮やかで、バラードやスロー・テンポ曲における悠然としたメロウ・テンダーなリラクゼーション表現やクールで洒落た機智の発揮ぶりも含め、その鳴動は激しいけれども力は常に八分目以下で余裕を残したそういう"センス"を感じさせる吹鳴のあり様が、いかにもイマドキらしく殊の外フレッシュな妙味に溢れている。

★絞りの効いた筋肉質トーンでワシワシとハードに援護射撃してくるコーネリアス(as)や、不器用なまでにソリッド&スクエアー一直線の力学的・鋭角的殺陣技(時折垣間見せるダウン・トゥ・アース&ファンキー・ソウルフルなブルース節も◎)で体当たりをカマすデイヴィス(p)、らの的確な助演も光る。

01. Tina's Dream (W. Morris) 6:37
02. St. Upton Hin (W. Morris) 4:17
03. Cries (W. Morris) 5:34
04. It Is Well With My Soul (H. Spafford) 4:27 (ts-p-b-ds quartet)
05. The Strength Of Those Who Bear The Burden (W. Morris) 6:16
06. Keep Talking (W. Morris) 7:53 (ts-p-b-ds quartet)
07. Introspective (W. Morris) 4:43
08. Isotope (J. Henderson) 5:26
09. Azar (W. Morris) 6:31
10. Conversation Starter (W. Morris) 4:02

Willie Morris (tenor saxophone)
Patrick Cornelius (alto saxophone except 02, 04, 06) (alto flute on 02)
Jon Davis (piano)
Adi Meyerson (bass)
EJ Strickland (drums)

2022年11月15日米NYブルックリンのAcoustic Recording録音

レーベル：Posi-Tone

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
見開き紙ジャケット仕様CD