★20歳でピアノを始め、2009年、第二回神戸ネクストジャズコンペティションで特別賞を受賞、2013年には単身ニューヨークへ渡って武者修行を積み、帰国後はトリオを始めとする自己のグループを率いジャズクラブやホテル、各種イベント等で精力的に演奏活動を行なってきた、主に関西シーンを拠点とするモダン・ピアノの実力者:西田仁(1980年広島生まれの岡山育ち)の、本盤は、仲石裕介(b)&山田玲(ds)とのトリオ体制での、有名ジャズメン・オリジナルやスタンダードをメイン・レパートリーとした中々にアツい敢闘が聴かれる、2021年にリリースされていた(恐らくファースト・?)リーダー・アルバム。
★強固で堅牢で鋭角的キレのよさを呈した、陰影にも富む石を転がすような硬質骨太タッチのピアノが、重心にブレるところのないゴツゴツしたバップ・イディオム型の殺陣風ダイナミック・スウィンギン・アクションや、モード色を加味した熱さとスマートさ混在の哀愁フレージングなど、ブルース・フィーリング並びに歌謡的な美旋律センスもナチュラルに備わった情味濃いアクティヴ・プレイを敏活に綴って、凛々しく晴朗にして雄渾のスケール感と男気ある華を堂々と成し、結構な音量・音圧でワシワシ迫るベース&ドラムの遊撃力充分のサポートも、抜群のグルーヴ&スリル効果+アタック効果を頼もしく発揮した、全体を通じ硬派で粋渋なハード・バップ系ピアノ・トリオの本道ド真ん中を突き進む勇ましい行軍が続いて、スカッと壮快に昂揚させ、また豊かな旨味を満喫させてくれる好演内容。
★精悍毅然げなシリアスさや立ち回りの真剣迫力と、親しみやすく人情味溢れる歌心の豊饒さ、を兼備した、キッチリと堅実かつパワフルに凹凸しつつ律動スイングもする真っ向勝負の大衆派エンタテインメント性満点なハード・バピッシュ熱演、が実にイキイキと軒昂そうに、そして愉しそうに展開され、仲石(b)や山田(ds)の重厚にしてシャープネスみなぎった猛々しいバックアップに上手く刺激を受けながら、西田(p)のドッシリ腰を据えて悔いなくエモーショナルに完全燃焼する屈強で熱いアドリブ奮戦が、殊の外エキサイティングな盛り上がりを、大豊作ぶりを見せて全くゴキゲンだ。
→圧倒的逞しさ、圧倒的タフネスをほとばしらせた重量感あるストロング・ハード・バッパーとも云うべきシンプル・ストレートな確たる芸風が奮いに奮っており、その、キリッとしたソリッド・スクエアー感溢れる伝統的なバップ語法とファンキー筋のこってりコク旨な吟醸的アーシー・ソウルフル節を二本柱とした、力学的気魄も十二分の押せ押せ驀進攻勢はノリにノッていて痛快この上なく、時折転回としてマッコイ系っぽいパッショネート&アグレッシヴなモーダル奏法を使うところもあるものの、いつしかそれが手癖の如く純正バップ・スタイルへ戻って行ったり、バラードでのちょっとナイーヴで朴訥な哀愁描写が次第に熱を帯びてダウン・トゥ・アースな濃い口の音景色に推移したり、などの変遷も含めて、そうした、いい意味でやや不器用な一本気体質の弾鳴キャラのあり様は好感度も説得力も格別のものがある。少々粘っこくスピリチュアルに朗々と唄いまくる仲石(b)のソロも美味いアクセント。
1. Segment
2. Seascape
3. Blue Monk
4. Someday My Prince Will Come
5. Rio
6. After Hours
7. Everytime We Say Goodbye
8. Inception
西田 仁 Hitoshi Nishida (piano)
仲石 裕介 Yusuke Nakaishi (bass)
山田 玲 Akira Yamada (drums)
2021年日本作品
レーベル:
Yokohama Reunion
在庫有り
国内自主製作CD