★早ヴェテランの貫禄もついてきた感があるお馴染みフランスの人気ピアニスト:バティスト・トロティニョン(1974年フランスのナント生まれ)の、今回は、マット・ペンマン(b)&グレッグ・ハッチンソン(ds)とのオールスター・トリオによる、ビートルズ始め英国製の有名曲群をメイン・レパートリーとした一編。
★バネとウネりを強力に利かせて撥ねるように躍動する肉太ベースや、ヤバイぐらいにシャープ&スピーディーに斬り込みを入れてくる精確巧緻なドラム、にガッチリ支えられ、また触発されて、堅固で硬質な歯切れよい鋭角性と細やかな折り目正しさを併せ持った程好い厚み&重みあるストーン・タッチのピアノが、バップorモードの定番イディオムに則ったソリッド&スクエアーな殺陣風のダイナミズム表現を基底に敷き、そこへ結構ダウン・トゥ・アースでファンキーな黒っぽいブルース節や、ヨーロッパ現代流らしいメロウ・テンダーな耽美浪漫フレーズもしくはクラシックの下地を感じさせる幾何学的荘厳ジグザグ・ヒット技、などを加えてメリハリをつけながらドラマティックかつクールに見せ場を飾ってゆく、全般に硬くパワフルなハード・バップ特有の骨のあるグルーヴとユーロ系一流の理知的ジェントルイズムや覚醒感の入り混じった独自の音景色を、トントン拍子の快速さで愉しませる中々の濃密内容。
★1曲1曲は簡潔にまとめられ、曲毎に趣向を違える盛り沢山だが決して散漫な印象のない、基本はあくまで歌心とスイング感を重視する甘すぎないリリカル・アクション・タイプの精悍ハード・バピッシュ熱演、が意気軒昂に抜群の鮮度をもって展開してゆき、三者が一丸となって一瞬一瞬・一音一音に確固と魂をこめる揺るぎない芯の通ったタフ&ヘヴィーな道程の中で、主役:トロティニョン(p)のハードボイルドな猛者面と欧州流ロマンティスト面を的確に使い分けた(前者が主軸、か)、何げに振り幅の大きなアドリブ奮戦が殊の外清新で迫真スリルある出色の輝きを放っており全く素晴らしい。
→先ずは何よりアメリカン・ストレートアヘッド路線の本質に、奥義に迫らんとするちょっと格闘技的な立ち回りの型を尊守しての硬派ハード・バッパー肌〜メインストリーマー肌の力学調アクティヴ攻勢(+アーシーな漆黒のブルージー節)で分厚さ満点に聴く者を圧倒し、かと思えば一転してヨーロピアンならではの繊細でクーリッシュ・フォーキーな吟遊詩人っぽい牧歌風景の描写や、現代クラシックorニューエイジ系に幾分接近した半メディテイティヴなサロン風のリラクゼーション&ロマンティシズムの醸成、に瑞々しい妙味を発揮したりと、その真摯にキャリアを積み精進を重ねた者らしい芸幅の広さ・懐深さをしっかり感じさせる弾鳴のあり様は、大いに芳醇で説得力も十二分。饒舌なほどに朗々と歌いまくるペンマン(b)や手を代え品を代え多彩すぎる変幻ゲリラ遊撃で煽ってくるハッチンソン(ds)、らの活躍も実に鮮烈でテイスティー至極。
※CDより4曲多い2枚組LP版(180g重量盤)も取扱中。
01. Drive My Car
02. Message In A Bottle
03. Money
04. Here Comes The Sun - Norwegian Wood
05. Karma Police
06. Misty Mountain Hop - Four Sticks - Whole Lotta Love
07. Almost Blue
08. Mother's Little Helper
09. Interstellar Overdrive
10. Life On Mars?
11. Maryan
12. We Are The Champions
13. Fake Plastic Trees (solo piano)
Baptiste Trotignon (piano, arrangement)
Matt Penman (upright bass except 13)
Greg Hutchinson (drums except 13)
2023年作品
レーベル:
Naïve
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デジパック仕様CD
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