★過去にもデュオやトリオでの共演レコーディングを残していた、今日の北欧ジャズ・シーンを代表するエース・ベーシスト:トーマス・フォネスベック(1977年デンマークのヘルシンゲル生まれ)とアメリカの盲目のピアニスト:ジャスティン・コフリン(1986年米メリーランド州シルヴァー・スプリング生まれ)、の名コンビによる再びのデュオ・アルバムが登場。
★弾性を利かせて精確に反復律動しながら随所にフェイントっぽく変化球的フレーズも盛り込んでくるベースの、大きく波打ちウネるが如き鳴り様がコク深くもグルーヴィーな妙味を放ち続ける中で、一音一音からきららかな光沢と潤いが発散されるイメージの端麗にして歯切れよいクリアー・タッチ・ピアノの、美メロ&詩的浪漫の泉たるマイルド・リリカル・プレイが流れるように鮮やかに、そして瑞々しく華を成してゆく、全体を通じ両者の間に漂うインティメイトな和気あいあいの空気感と圧倒的にダイナミックな力強いノリ具合とでホッと安心させつつもエキサイティングに昂揚させてくれる、何げに按配絶妙の中々揺るぎない会心打内容。
★歌謡的な親しみやすい旋律の美しさと、敏活溌溂げにノリノリで揺れ躍るド真っ当なスイング感、とを何より大切にした、ブルースの旨味やハード・バップ・ジャズならではの渋さ・粋さ・グルーヴィーさも自ずと豊富に備える、極めてシンプル・ストレートな人情娯楽派の鑑とも云うべきポエティック・アクション調の快演がひたすら愉しげに、温もりも一杯に展開され、親密な和み気分とおおらかな開放感がごくナチュラルに入り混じった道程の中で、両者の、肩肘張らずも腰を据えて伸び伸びと得意技を揮いきる、自然体でありながらポジティヴな清新気概に満ちたアドリブ活躍が何とも晴れやかで美味さ格別の盛り上がりを、大豊作ぶりを呈してゴキゲンだ。
★コフリン(p)の、基本はエヴァンス以降の抒情派ピアノの正統スタイルを身上として、特に序盤辺りではそのバネを効かせた躍動型の耽美的ロマンティック・フレージングで鮮度抜群に魅了するが、進行するにつれもう一つの柱、というよりこちらが本性ではないかとも思わせる「ファンキー・バッパー」傾向が次第に手癖っぽく幅を利かせてくるようになり、R・ガーランドやピーターソンに底通する粋でイナセなコードワーク並びにバップ・ピアノの伝統にしっかり根ざした燻し銀の趣ある殺陣の型ふうの立ち回りワザ、でちょっとシブめの魅力も大いに発揮したりと、そうした、適度に幅があってしかも徹底して王道な一切ブレていない弾鳴のあり様は好感度も抜群。
★かたやフォネスベック(b)の、肉厚でヘヴィーウェイトな音響をもってハード・ドライヴ感満点にゴリゴリと唸りスウィングしまくり、ソロ時には雄弁と云うよりは饒舌といった印象のウォームで超芳醇なメロディストぶりを顕示するその猛ハッスル具合がまた◎。
1. Danish Rain (Thomas Fonnesbæk) 6:27
2. Everything I Love (Cole Porter) 6:33
3. Windows (Chick Corea) 6:17
4. Falling Grace (Steve Swallow) 5:48
5. You Must Believe In Spring (Michel Legrand) 5:24
6. Cake Walk (Oscar Peterson) 5:29
7. Imagine (John Lennon) 6:45
8. Country Fried (Justin Kauflin) 4:47
9. Driftin (Herbie Hancock) 5:43
Justin Kauflin (piano)
Thomas Fonnesbæk (bass)
2022年3月28日,29日デンマーク-コペンハーゲンのVillage Recording Studio録音
レーベル:
Storyville
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デジパック仕様CD
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