★当初はR&Bのバンドでプレイし、BB・キングやライトニン・ホプキンス、ジェイムズ・ブラウンらと共演、サンフランシスコに主たる本拠を置いて1960年代に入るとマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、アート・ブレイキー、レッド・ガーランド、デクスター・ゴードンらと出会い、やがてファラオ・サンダース、デューイ・レッドマン、ドナルド・ギャレットらとビッグ・バンドを結成、1960年代末にはニューヨークへ拠点を移し、ジョン・ヘンドリックスのサイドを経て1970年代には所謂"ロフト・ジャズ"のシーンで活躍、その後1980年代に仏パリへ移住し、チェット・ベイカー、ファラオ・サンダース、ジョニー・グリフィン、マル・ウォルドロンらと共演を重ねた、オールラウンドな黒人アルトサックスの逸材：モンティ・ウォーターズ(1938年米カリフォルニア州モデスト＝Modesto生まれ、2008年ドイツのミュンヘンで死去)の、本盤は、これが自身の初リーダー・アルバムとなった、増尾好秋(g)参加のカルテットによる1975年8月ニューヨーク録音の傑作(Whynot原盤)、のCD化・新装再発版。
★鋭い絞りの効き様と脱力したようなふわふわ感の兼ね合いが絶妙の、表情&ニュアンスに富むトーンのアルト(もしくは更にエッジを尖らせて圧縮感やタイトさを増したソプラノ)が、苦味走った面持ちで烈しくも流麗にパンチのあるウェイヴを描く風なシリアスめのアクション・ブロウを繰り出して、凛々しく猛々しい華を成し、一方、潤い豊かでありながら怪しく不穏なダークネスをも巧まず撒き散らすギターのキレのある弾奏も、上手いスパイス効果・アクセント効果を発揮した、全般に黒いスピリチュアリティとブルース由来の吟醸ソウルが細密に絡み合った迫真力満点の甘くない骨太スウィンギン世界を、殊の外フレッシュ・スリリングに愉しませる歯応え充分の会心打内容。
★モードを通過した1970年代流のハード・バップ・スタイルを確たる骨組とし、そこへブラック・スピリチュアルなコクであったりやはり黒さあるブルージー・テイストであったりが多分に加えられた、醸造感十二分の硬派勇壮ダイナミック・スインギー熱演が腰を据えてエネルギッシュ&パッショネートに展開され、この時代ならではの生々しく少々荒っぽいある種の野性味や武骨さが漂う道程の中、ウォーターズ(as,ss)の、多彩で劇的な変転ぶりを見せるも根は"生粋のブルースマン"といった印象のある、精悍軒昂なるアドリブ奮戦が雄々しくアツい盛り上がりを呈して壮快だ。
→ロフト・シーンに身を置いていたこともあってか、そういうモーダル・アグレッシヴな激烈猛攻型の咆哮で大いに気を吐く面もあるものの、その本性はどちらかと云うと芳醇な旨味をたっぷり潤沢に振りまく漆黒ブルース路線にこそあり、と思わせる醸熟名人ぶりが遺憾なく揮われていてすこぶる痛快で、しかしその反面、ソプラノに持ち替えて尖った音色で狂おしく雄叫びを上げる辺りののっぴきならぬ切迫感がまた中々壮絶だったりと、そうした、わりかしヴァラエティー豊富で十全に鍛え抜かれた揺るぎない威風ある吹鳴のあり様は、こってり濃い口で説得力も満点。
★加えて、カタギでないファンクやロックに寄った暗躍ワザとごく真っ当なブルージー・バップ奏法の両極端を的確に使い分ける増尾(g)や、ブットくも鋭いドライヴ感をほとばしらせつつウネりにウネる雄弁なボイキンス(b)、キレ味シャープに真剣勝負でジワジワ・ビシビシ躙り寄ってくるアヴァロズ(ds)、らの活躍もウォーターズに勝るとも劣らぬ圧倒的存在感をそれぞれ放っていてアッパレ好インパクト。
1. Jラヴ・マーチ
2. ボグズ・ブルース
3. アパート#2H
4. モデスト
5. ブラック・キャッツ
6. R.P.M. (ボーナス・トラック)
モンティ・ウォーターズ Monty Waters (alto saxophone on 1, 4, 5) (soprano saxophone on 2, 3, 6)
増尾 好秋 Yoshiaki Masuo (guitar)
ロニー・ボイキンス Ronnie Boykins (bass)
ジョージ・アヴァロズ George Avaloz (drums)
1975年8月12日ニューヨークのVanguard Studios録音
レーベル：
Octave Lab (Deep Jazz Reality) ウルトラ・ヴァイヴ (Ultra-Vybe) (
Whynot原盤)
★2023年最新デジタル・リマスタリング
★新規解説
★ボーナス・トラック収録
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国内制作CD
