★フランスBYG原盤のフリー・ジャズの傑作2枚、→アーチー・シェップの盟友でありシェップの他サン・ラ、マーゼット・ワッツ、ファラオ・サンダース、サニー・マレイらとのコラボで多大な成果を残したブラック・フリー派コルネット(&ヴァルヴ・トロンボーン)の個性的逸材:クリフォード・ソーントン(1936年米ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ、1989年スイスのジュネーヴで死去)の、シェップ(ss)やアーサー・ジョーンズ(as)、グレシャン・モンカーIII(tb)ら参加の変動的コンボによる1969年8月仏パリ録音・同年リリースの「Ketchaoua」(BYG 529.323 = Actuel 23)と、ほぼ同時期(1969年8月)に同じパリで吹き込まれ1971年にリリースされた、サニー・マレイの懐刀あるいはアート・アンサンブル・オブ・シカゴとの交流で鳴らすエネルギッシュかつウォームな黒人アルトサックス奏者:アーサー・ジョーンズ(1940年米オハイオ州クリーヴランド生まれ、1998年ニューヨーク市で死去)のベース&ドラムとのトリオによる一編「Scorpio」(BYG 529.350 = Actuel 50)、以上の2つのアルバムを2in1カップリング収録した、ともにこれが初CD化となる待望のCD版。
★先ず前半のソーントン編では、不規則に波打ちたゆたい浮遊するような怪しく蠢くリズム(またある時はアフリカン・グルーヴ・ビートもしくはパルス状の激烈な猛襲叩きつけリズム)の上で、スピリチュアルでありちょっとエキゾティックでもある銘々の陰影濃いビザールなインプロヴィゼーションが切迫感をもって交錯して、硬質で鋭い鬼気ある抽象世界を創出。ソーントン(cor)の、神妙に哀感を込めて切々とバラードを歌っていたかと思えば突如異形な絶叫咆哮に転じたりと、変幻自在で中々ドラマティックな気合満点の情魂肌即興ワザが鮮烈に際立っている他、シェップ(ss)の圧倒的存在感をもって濃厚なスピリチュアリティを映し出す雄渾ブロウや、メンバー中最もカタギに近いバップ&ブルースのテイスト漂うウォーム・スモーキー吹奏でオアシス処を提供するモンカーIII(tb)、加えてジョーンズ(as)のすばしっこく小回りを利かせて熱血なアクションをぶつけてくる暗躍ぶり、などもそれぞれに確固たる濃い口の魅力を荒々しく放ち、しかしやはり何よりソーントン(cor)の生々しいパッションがハジけるかのようなのっぴきならぬ燃えっぷり、その問答無用の迫真力がさすが傑出している(殊に#3や#4辺りでのただならぬ殺気を孕んだ完全燃焼の様は圧巻!)。
★続く後半のジョーンズ編では、よりシンプル・ストレートな所謂サックス・トリオのフォーマットに則った上で、アツく激しい情動が炸裂しまくり爆発しまくる風な主役アルトの屈強なる吠えっぷり・雄叫びぶりが、結構カラッと壮快に晴れ晴れムードで見せ場を飾るガッツみなぎったフリー・アクション敢闘が聴かれ、破壊性とノリにノるグルーヴ感を併せ持った活劇的音空間を大いに愉しませる。→ダイナミック・スウィンギンなノリノリのビートの上で、キュッと絞りの利いた旨味溢れるトーンでもってわりかしブラック・ソウルフルな吟醸感も充分に体当たりっぽく烈々なるスピリチュアル咆哮を強壮に、不屈に繰り出し続けるジョーンズ(as)のタフこの上なき大暴れの様には、理屈抜きで胸のすくような清々しい妙味があり、奥深い哀愁の漂うバラード趣向(#7とか)なども含め、そのダーク・ストレンジでありながら分かりやすく親しみやすい人情味を多々滲ませたサウンド・キャラはばっちりテイスティーで好感度も絶大だ。
★といった具合で、2作品全編を通じ60年代末期における硬派スピリチュアル系フリー・ジャズの典型を示したホット&エモーショナルかつワイルドな白熱の大奮戦!!!を心ゆくまで堪能できる、極めて濃密な充実盤。
●"Ketchaoua" (1〜4)
1. Ketchaoua 12:31
Clifford Thornton (cornet, conga)
Arthur Jones (alto saxophone, possibly flute)
Archie Shepp (soprano saxophone)
Grachan Moncur III (trombone)
Dave Burrell (piano, bell)
Beb Guérin (double bass)
Earl Freeman (conga, gong, percussion)
Sunny Murray (drums)
2. Pan African Festival 7:50
Clifford Thornton (cornet, conga)
Arthur Jones (alto saxophone)
Archie Shepp (soprano saxophone)
Grachan Moncur III (trombone)
Dave Burrell (piano)
Beb Guérin (double bass)
Earl Freeman (double bass)
Sunny Murray (drums)
+male vocals(chorus)
3. Brotherhood 10:49
Clifford Thornton (cornet)
Arthur Jones (alto saxophone)
Beb Guérin (double bass)
Earl Freeman (double bass)
Claude Delcloo (drums)
4. Speak With Your Echo 9:12
Clifford Thornton (cornet)
Beb Guérin (double bass)
Earl Freeman (double bass)
1969年8月18日フランス-パリ録音
●"Scorpio" (5〜8)
5. C.R.M 10:15
6. B.T. 8:06
7. Sad Eyes 13:13
8. Brother B. 7:31
Arthur Jones (alto saxophone)
Beb Guérin (double bass)
Claude Delcloo (drums)
1969年8月フランス-パリ録音
1〜4:原盤 = BYG 529.323 (Actuel 23) (1969年リリース)
5〜8:原盤 = BYG 529.350 (Actuel 50) (1971年リリース)
レーベル:
Ezz-thetics
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見開き紙ジャケット仕様CD
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