★フランス・ジャズ界を代表する正統派モダン・ピアノの大御所:アラン・ジャン=マリー(1945年西インド諸島グアドループ島のポワンタピートル生まれ)の、今回は、最近ジワジワと幅を利かせてきている仏マルセイユの新興レーベル=Paradis Improviséからのソロ・ピアノ集。
★ゴツッと固くヘヴィーで分厚い、加えて歯切れのいい鋭角的クリアーネスをも湛えた岩石の如き陰影濃いめの硬質タッチ・ピアノが、殺陣の型のようにシャープ&ソリッドに凹凸を描くアクション奏法を根幹としながら、独特の歌謡的な抒情性やブルースに由来した渋い吟醸感も巧まず自然に加味して、適度にメロディアスだが決して甘すぎない"堅牢さ"と"翳"が身上の燻し銀風プレイを中々小気味よくも強固に綴って、コク深くノワール・グルーヴィーな確たる魅力を泰然と揮いきった、さすがの充実内容。
★1曲1曲は簡潔手短にまとめられて刻々様変りする飽きのこない半劇的道筋が形作られつつ、その中で、何げにネイティヴっぽくバップ・ピアノの言語感覚が音の隅々まで染みついた印象のハードでスクエアーな力学的フレージングを変らず基調とし、並行して仄暗く憂き哀愁的詩情やブルージーな旨味を豊富によぎらせる、概ねマイナー調もしくはブルース・ナンバーに本領発揮のダーク&ダイナミックなキレのある躍動型リリカル演奏が、どこまでも力強く硬角質に紡がれてゆき、奥深いメランコリーの世界を重厚かつタフ&ストロングなハードネスをもって精悍に活写するその、程好く質素でサバけた立ち居振る舞いに終始して各曲をシンプルに締め括りながら、後には何とも云えぬ滋味っぽい余韻が残る、という、肩肘張らぬ自然体でいて含蓄に富んだ語り口の妙は実に雅趣豊かで絶品だ。
→時には散文詩の如く徒然気ままな筆の滑らせ様を見せ、時には形式のしっかりした俳句や短歌・川柳とかを思わせる折り目正しく作法に適った所作動静も見せ、先ずは何より一貫して伝統的バップ・イディオムに則ったダイナミズム表現で硬派かつ強堅な骨太イメージを頑と打ち樹て、そこへちょっとアンニュイで微細に翳った物悲しき寂寞なるリリシズムやヨーロピアンならではの浪漫風情、或いは十全に練り込まれた醸熟のブルース・フレイヴァーが潤沢に織り交ぜられて、ムードあるテイスティー&芳醇な情景が描き出され、時にはよりマイルドな牧歌性や、ややラテン寄りの陽気でおおらかな歓喜ならびに舞踏的グルーヴなども体現して上手くメリハリがつけられ、トータルとしてはゴツゴツと硬く逞しく雄渾だがリキみの抜けたナチュラルげな風流音景色がどこか飄々と立ち現れており、そうした一聴作為なさそうでさりげなく懐の広い弾鳴のあり様は誠に幽玄深く卓抜。ウ〜ム、シブすぎる。
01. Aïe Doudou Pas Plere
02. Morena's Reverie
03. Haïti
04. Tú, Mi Delirio
05. 22 Mezouk
06. Bonè An Mwen Pati
07. Zouk La
08. Dos Gardenias
09. The River
10. Italian Sorrow
11. Lydie Et Eric
12. AJM Blues
13. Vallée Heureuse
14. Déception
15. Serenade
16. Jocade Et Marie-Thérèse
17. I Need A Man
18. Thierry En L'an 2000
Alain Jean-Marie (piano)
2023年フランス作品
レーベル:
Paradis Improvisé
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デジパック仕様CD
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