CATFISH RECORDS

★先頃の第1作「Passers of Time」(2018年録音)が好評を博していた、フランスの大ヴェテラン・ドラマー：アンドレ・チェッカレッリ(1946年フランスのニース生まれ)を中心としメンバー(シルヴァン・ブフ-ts&ss/アントニオ・ファラオ-p/トマ・ブラムリ-b)銘々の頭文字を並べてグループ名としたオールスター4人組ユニット：ASTA(チェッカレッリがリーダーというわけではなく4者は対等で全員がリーダーでもある)の、待望のセカンド・アルバム。

★歯切れよくシャープかつ手数多くダイナミックな爆発的スウィンギン・ビートを刻むドラムの激烈大攻勢や、肉太く重厚にウネり波打つベースのドライヴ感みなぎった鳴動、に頼もしくプッシュされながら、キュッと絞りの利いたトーンでエネルギッシュ&アグレッシヴであり同時にクール・スマートでもある情感豊かな咆哮を轟かせるテナーや、硬質堅固に角張ったストーン・タッチで圧倒的力学性と奥深い思索性ない交ぜのソリッド&スクエアーそしてパッショネートな躍動プレイをガンガン繰り出すピアノ、らが勇壮精悍に見せ場を繋いでゆく、全体を通じコンテンポラリー・モーダル・バピッシュ・ジャズの正統らしいストレートアヘッドな趣とヨーロピアンならではの深遠な詩情やエレガンスを併せ持ったリリカル・アクション調の世界、を生鮮度抜群に愉しませる会心打内容。

★今日流硬派筋モード路線の一典型を示した、リズム・スタイルはヴァラエティーに富み起伏メリハリは充分、そしてハードな立ち回りの迫真力に溢れるのと並行して歌心やブルース・フィーリングも潤沢に備わった、濃淡あるアクティヴなポエティック熱演が力強く展開してゆき、チェッカレッリ(ds)の絶えずキレ味鋭くスリリングに突起性ある猛襲を、斬り込みをカマし続ける感じのアタックぶりが聴いていて耳を離せない圧巻の気魄と黒幕オーラを一貫して放つ、中々サスペンスフルな道程の中で、一座の花形役S・ブフ(ts,ss)やこれを追撃してくるファラオ(p)らのエモーションみなぎったアドリブ奮戦が、フレッシュ&テイスティー・グルーヴィーに鮮麗なる冴えを見せて秀逸だ。

★ブフ(ts,ss)の、熱く激しいパッションを孕んだ血沸き肉躍るスピリチュアル・ブロウを雄渾げに炸裂させて理屈抜きで大いに昂揚させてくれるが、その吹鳴にはそうした煮えたぎる大アクションの最中にあってさえどこか醒めた理知性やクールネスが仄めいている、といった辺りがこのグループのトータル・イメージを象徴するかのようなユーロ系特有の妙味を発揮しており、一方ファラオ(p)の、ヒンヤリ冷涼で耽美的なメディテイティヴ・バラードにも深みを見せるものの、どちらかと云えばここではよりハードで甘さを排したガキゴキ岩石様の強硬ダイナミズム趣向＝全力疾駆型のモーダル驀進、にこそ本領ありな印象の堅牢弾奏、にも確固たる説得力が顕れていて好インパクト。

1. Asta 5:09
2. Dreams 1:44
3. Our Generation 6:59
4. Slow Steps 6:02
5. Mat Max 3:46
6. Balkis 2:30
7. Monsieur Maury 6:22
8. Crépuscule 6:30
9. Remembering Bernard 4:29 (possibly overdubbed another tenor saxophone is heard...?)

Sylvain Beuf (tenor saxophone except 4, 8) (soprano saxophone on 4, 8)
Antonio Faraò (piano)
Thomas Bramerie (double bass)
André Ceccarelli (drums)

2023年フランス作品

レーベル：Bonsaï Music

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
CD