★スライド・ハンプトンやメイナード・ファーガソンらのサイドを経て、1966年から67年にかけて参加したジョージ・ベンソンのグループで大々的に頭角を現し、以降も様々な人脈の中でハード・バップ、ラテン・ジャズ、ポップスなど守備範囲を広げつつ硬派バリトンサックスの第一人者として精力的な活躍を続けた名匠：ロニー・キューバー(1941年米ニューヨーク生まれ、2022年ニューヨーク市で死去)の、本盤は、2009年5月オランダへ赴き人気兄弟グループ:ビーツ・ブラザーズと共演したMaxanter原盤の傑作ハード・バップ・アルバム、の限定再発版。
★骨太く肉厚でドッシリ重みがありながら引き締まってもいる隆々トーンのバリトンが、パンチを利かせてダイナミックに抑揚を描くタフネスみなぎったバピッシュ咆哮を何とも威勢よく堂々と轟かせて雄渾かつコク旨な華を成し、堅牢なストーン・タッチでバップ・イディオムに則ったソリッド&スクエアーな殺陣っぽい立ち回りプレイを繰り出すピアノや、アーシー・ブルージーに朗々と吟醸節を唄うテナー(2曲参加)、らもしっかりテイスティーに確固として彩りを添えた、全編真っ向勝負のストレートなハード・バップ大会が鷹揚に決め込まれてスカッと壮快に昂揚させ、醸熟のウマみを満喫させてくれる豊饒内容。
★歌心とスイング感にポイントを絞った、ブルース色も濃いド真っ当・ド直球の娯楽活劇的な人情味溢れるメロディアス熱演が開放感をもって晴れやか&おおらかに、嬉々溌溂と推し進められてゆき、キレ味シャープで芸の細かいイネケ(ds)、バネの効いた強力なドライヴを見せるマリウス(b)、硬質堅固にして雄弁な歌謡性を揮うピーター(p)、らリズム隊の手堅くも瞬発力に長けた揺るぎない安定律動的バックアップに頼もしく支えられながら、キューバー(bs)の、腰を据えて伸びやかに完全燃焼する、イキのよさに満ちていると同時に泰然自若の余裕や貫禄を感じさせる、さすが十全に醸造され熟成したアドリブ技がひたすら超芳醇に冴え渡ってゴキゲンだ。
→先ずは何よりヘヴィー&ストロング＝強靭な、スケールも雄大この上ない"逞しさ"を身上とする、大方はペッパー・アダムスの流れを汲んだ豪快武骨な硬派筋バリトンの典型スタイルが根幹を成しており、その圧倒的にパワフルなパンチ力・アタック力を活かしきったハード・ドライヴィングなブットい吠えっぷりは全く鮮やかだが、それだけにとどまらず、マリガン〜グリン系とまでは行かないものの独特のソフト&マイルドな風合いやテナーに近い直線的伸び・しなやかさを垣間見せるところもある、というその、伊達に年季を重ねてはいないそうした屈強さの中に仄めく温かな懐深い個性のあり様、包容力(+滋味)の豊かさが格別の魅力。
★「ファンキー・バップ」を変らず基調とし時折「モーダル・アグレッシヴ」へも接近するピーター(p)の何げに劇的な立ち働きや、結構ダウン・トゥ・アースでソウルフルなホンカー寄りの雄叫びを上げるアレクサンダー(ts)の濃い奮戦、といった辺りも誠に快調で好インパクト。
1. インフラ・レイ
2. ライン・フォー・ライオンズ
3. シェ・ジョゼ
4. チリン
5. ラヴァー・マン
6. バッテリー・ブルース
7. キュビズム
Ronnie Cuber ロニー・キューバー (baritone saxophone)
Peter Beets ピーター・ビーツ (piano)
Marius Beets マリウス・ビーツ (bass)
Eric Ineke エリック・イネケ (drums)
Alexander Beets アレクサンダー・ビーツ (tenor saxophone on 2, 6)
2009年5月11日オランダ-ザイスト(Zeist)のStudio Smederij録音
＊原盤：Maxanter Records Max 75967
解説:工藤由美
レーベル：
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe)
★限定生産盤
★日本初CD化
★日本語解説付
★リマスタリング
在庫有り
国内制作・限定生産CD
