★過去にも同レーベル(Well Done Simone! Records)に吹き込みのあった、ギター、チェロ、ベースから成るフランスのコンテンポラリー・マヌーシュ(もしくはチェンバー?)的なトリオ・プロジェクト：Loco Celloの、今回は更なる2人のギタリスト、アドリアン・ムワニャール(シリユ・エメ-voのサイド等で活躍)(Loco Celloの前作にも全面参加)＆ビレリ・ラグレーンをゲストに迎えつつの一作。
★端正で潤いや爽涼さに富んだきめ細かくも鋭いトーンのギターがテンダー&ロマンティックにしっとりと哀愁を歌い上げたり、或いはちょっとジャンゴ寄りのジプシー・スイング傾向を仄めかしながら躍動型のメランコリック節を繰り出したりと、美しいメロディーを満載した中々機略縦横の抒情派プレイを闊達に紡いで風流かつイナセっぽく華を成し、一方、室内楽的エレガンスやサロン・ムードとミュゼット的な下町歌謡インスト色を表裏に体現するチェロや、控えめだがしっかりと安定した敏活なノリ＝グルーヴを醸成するベース、らの働きも頼もしげにピタリとツボにハマッた、全体を通じマヌーシュ・ジャズの伝統や様式美と当世流のアップデート感が違和感なく共存した情感豊かな世界を、フレッシュに愉しませる(何げにわりかし高度で精妙な超絶技巧も光った)好投内容。
★どの曲もアレンジや構成が周到に作り込まれながらしかしリアル・ジャズならではの即興並びにインタープレイの迫真スリルにも決して事欠かない、根底にはジプシー・ミュージック精神が揺るぎなく脈打つと同時にごくナチュラルな現代感覚も豊富に備わった、何とも瑞々しい「物悲しげアクション」快演がイキイキと展開してゆき、メリハリも充分利いた一切無駄のないドラマティックな道程の中で、銘々の、限られたスペースにエッセンスを凝縮させるようなアドリブ・ソロが実に鮮麗に冴え、豊饒地帯を創出して素晴らしい。
★ストルク(g)の、ジャンゴ派の正統スタイルを基調とする反面ややスパニッシュな妖しい民族音楽の領域へも時には踏み込んでゆく、そのエキゾティック・グルーヴィーな立ち回りが先ずは清新この上ない魅力を放っており、また、ラグレーン(g)のフューチャー・マヌーシュとも云うべきシャープネスみなぎった硬質機動攻勢(結構ハードボイルド!)や、ムワニャール(g)のジプシー奏法からコンテンポラリー・バップ文体、ブルース・ロック調まで多彩に様変りしてゆく劇的活躍、といった辺りもばっちりスター性&旨味を発揮、加えて、ほぼ全編に渡り雄弁と云うよりは饒舌と云えるほどの賑々しい立ち振る舞いで座をさらうサルク(cello)の奮戦もテイスティーに際立つなど、個人プレーの見せ場は極めて充実している。
01. Oblivion (feat. Adrien Moignard) 4:30
02. Armaguedon (feat. Biréli Lagrène) 8:07
03. Vuelvo Al Sur (feat. Adrien Moignard) 6:50
04. Upper East (feat. Adrien Moignard) 5:23
05. Clair De Lune (feat. Adrien Moignard) 3:53
06. Trucmuche (feat. Biréli Lagrène) 4:03
07. Csardas, Pt.1 4:15
08. Csardas, Pt.2 3:15
09. Prière 3:47
10. Auf Einer Burg 3:22
11. Tears (feat. Adrien Moignard) 2:28
Samuel Strouk (guitar)
François Salque (cello except 05, 11)
Jérémie Arranger (bass except 07, 09, 10)
Adrien Moignard (guitar on 01, 03, 04, 05, 11)
Biréli Lagrène (guitar on 02, 06)
2023年フランス作品
レーベル：
Well Done Simone! Records
在庫有り
デジパック仕様CD
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