★バルトーク音楽院やブダペスト音楽院に学び、母国ハンガリーほか東欧シーンでの幅広い活躍を経て1983年にアメリカへ渡り、バークリー音大でゲイリー・バートンに師事、そのままボストンに腰を落ち着けて40年近く活動を続け、バークリー音大の教官も務めながらトリオ中心に数多くの優れたレコーディングを残してきた人気ヴェテラン・ピアニスト:ラズロ・ガードニー(1956年ハンガリー生まれ)の、今回は、20年来の演奏仲間であるジョン・ロックウッド(b)&ヨロン・イスラエル(ds)とのトリオを久々に復活させた一編。曲はガードニーの自作と三者の完全即興が半々ずつ。
★歯切れよく打鍵の強い、そして濃い陰影を帯びた、石を転がす感じの骨太で鋭角な硬質タッチのピアノが、ある時は独特の東欧的フォーキー・エキゾティズムとアーシーなブルース・テイストを掛け合わせたアクション・グルーヴ物風の哀愁と熱情みなぎる烈しい躍動を見せ、ある時は更にダウン・トゥ・アースなソウルフル傾向へと踏み込んだこれまたノリノリのファンク寄りダイナミズム攻勢を決め、またある時は一転して繊細な耽美的センスや浪漫カラーを前面に打ち出したちょっと吟遊詩人っぽくもあるマイルド・リリカル路線に没頭したりもする、という、一貫してメロディアスかつリズミカルでブルース色の強い極めてアクティヴな吟醸プレイを綴って、芳醇&豪快に堂々たる華を成し、一方、分厚くヘヴィーでいてキレ味シャープな体当たり的アタックをかけてくるドラム&ベースの遊撃型バックアップ、も的確にスリルとノリのよさを高めて頼もしい魅力を放った、全般に激動力と美旋律性とが密に融和した中々濃い口の音世界を旨味と歯応え十二分に愉しませる会心打内容。
★概ね、東欧の風土に由来すると思しき妖しく翳ったフォーク・エスニックさやスピリチュアルさと、現代感覚溢れる半舞踏的リズミック・ビートに乗せたファンク・グルーヴ調のブルース趣向、とをがっちりドッキングさせた、圧倒的躍動感をもって迫る唯一無二のユニークなリリカル・アクション熱演が精悍勇猛に展開され、ある種の情念を匂わせつつミステリアスに躙り寄るロックウッド(b)や隙あらば情容赦なく爆撃もしくは斬り込みワザを炸裂させるイスラエル(ds)、らの"攻めた"立ち働きも絶えず鮮烈に際立つ、リアル・インタープレイ度も高い凄味ある道程の中で、ガードニー(p)の、タフなパワフルさ〜ストロングネスを身上としながら甘美だったり小粋だったりの抒情的創意にもしっかり長じた、硬軟兼備の滑脱なアドリブ妙技が清々しくドラマティックに冴え渡って秀逸だ。
→先ずはハードかつ重厚にガキゴキと音を尖らせて凹凸感満点に猛襲してくる「力学主義」の権化然とした殺陣風のソリッドな立ち回りワザ、に殊の外鋭利敏捷で威厳ある硬派筋の本領が遺憾なく濃厚に揮われていて圧巻で、その反面、マイルドでおおらかな牧歌性の発露や心象風景・瞑想空間の襞を一つ一つ丁寧に掬い取ってゆくかのような深遠なる内省的バラード表現、更には米産ブルースの伝統に確固と根を下ろした粋渋な憂歌っぽい唄いっぷり、などのロマネスク&テイスティーなリリシスト面・メロディスト面にもさすが熟練した揺るぎない妙味があり、説得力は抜群。
01. Irrepressible 5:21
02. Strong Minds 4:34
03. Sweet Thoughts 4:51
04. Cedar Tree Dance 8:26
05. All That Remains 5:18
06. Times Of Discord 6:05
07. Savanna Sunrise 4:26
08. Walking In Silence 6:10
09. Everybody Needs A Home 5:26
10. Hopeful Vision 5:52
11. Night Run 6:43
12. Cold Earth 6:30
Laszlo Gardony (piano except 07) (melodica on 07)
John Lockwood (acoustic bass)
Yoron Israel (drums) (kalimba on 07) (probably percussion on 05)
2022年1月14&15日米マサチューセッツ州ボストン、WGBH(ボストン公共放送局)のthe Fraser Studio録音
レーベル:
Sunnyside
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