★当初はロック・ギター演奏に明け暮れるもジム・ホールに魅了されてジャズ・ギターの道へと転じ、アン・ミュージックスクール京都に学びつつ京都シーンでプロのジャズ・ギタリストとしてライヴ活動、1997年に米ニューヨークへ渡り、ジーン・バートンシーニに師事、アレンジ・作曲も学んでNYブルーノートやスモールズ等を根城に精力的な演奏活動を続け、マーク・ターナー、ジミー・ヒース、グラント・スチュワート、渡辺貞夫、ケニー・バロン、グレゴリー・ターディー、マイク・ルドーン、ロニー・プラキシコなどなど、主流派シーン第一線で名だたる猛者連と手合わせを重ねてきた、早ヴェテランの域に入る正統派モダン・ギターの逸材:中井勉(1971年生まれ、NYブルックリン在住)の、本盤は、ラファイエット・ハリスJr.(p,elp,synth)以下旧知のリズム・セクションと組んだカルテットによる、自身がプロデュースを務めた通算5作目の最新リーダー・アルバム。
★おぼろでまろやかなスモーキー感とキレのいいシャープな張りや伸び〜鮮明さが自然に一体化し、一音一音から濃い旨味&潤いがたっぷり放たれるテイスティーなトーンのギターが、伝統的なバップ・イディオムとアーシーなブルース・タイプの小節を掛け合わせ、更にマイルドな歌謡フレーズやコンテンポラリーめの鋭敏アクションも適所適量盛り込んで巧まず幅・メリハリをつける、という中々表情多彩で程好くドラマティックな「ストーリーテリング」に長けた滑脱プレイをごく流暢に綴って、トータルとしては粋で渋いジャズ・ギターの本道たる吟醸感満点の華を成し、一方、カッチリしたスクエアー・バピッシュなピアノや、ファンク・フィーリング溢れるグルーヴ力抜群のエレピ、強烈にバネを利かせてパワフルにドライヴするベース、堅実かつ精確に安定したビートを叩き刻みながら結構カラフルに芸の細かさも発揮するドラム、らの活躍も各々鮮麗なまでにツボにハマりきった、一貫して歯切れよいノリと豊かな美味さを満喫させてくれるさりげなく卓越した快投内容。
★ハード・バップ型ギター・ジャズの正統然とした、硬派で凛々しく勇壮なおかつ優しく親しみやすい歌心も潤沢に備える人情肌娯楽路線の王道快演、が適度な和やかさを伴ってイキイキと展開してゆき、サイド陣の気配りと機智に富んだ揺るぎなげなバックアップに頼もしく支えられ、導かれながら、中井(g)の、腰を据えて伸びやかに躍動し、と同時に端正で丁寧な所作が自ずと身についた感じの、ゆとり&節度を絶やさないアドリブ妙技が余情深く冴え渡ってゴキゲンだ。
→バップ・ギターのオーソドキシーに則った厚みと角張り感ある殺陣の型っぽい硬質ダイナミズム表現と、よりシャープネスを増してダウン・トゥ・アース&ソウルフルに憂愁・哀感を唄い上げる黒さも充分のブルージーなアプローチ、の融合を変らず根幹に据えて確固と筆を進める伝統重視指向の行き方が基本身上だが、そうした、オールド・ファッション体質になりそうな芸風にもかかわらず古臭いところは微塵もなく、現代の息吹きをナチュラルに投影したその丸みあるメロディック・グルーヴィー節には殊の外瑞々しい煌めきが顕れていて、コク旨さと清新生鮮さが巧まずして共存したブレのない、落ち着いた調子の弾鳴は懐も広そうで何げに芳醇の極み。L・ハリスJr.の、ミステリアスなファンク・カラーとメロウ・ムーディーな夢心地リラクゼーション織り混ぜたエレピ演奏も超おいしい好アクセント。
1. Nutville (Horace Silver)
2. The Far Way (Tsutomu Nakai)
3. Lawns (Carla Bley)
4. Bolivia (Cedar Walton)
5. Walk On By (Burt Bacharach)
6. Rain In My Heart (Tsutomu Nakai)
7. Swimmy Night (Tsutomu Nakai)
8. Golden Lady (Stevie Wonder)
9. Starry Night (Tsutomu Nakai)
中井 勉 Tsutomu Nakai (guitar)
Lafayette Harris Jr. (piano except 4, 5, 8, 9) (electric piano on 4, 5, 7, 8, 9) (synthesizer on 5)
Lonnie Plaxico (bass)
Dwayne Cook Broadnax (drums)
2022年10月10日ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのthe Samurai Hotel Recording Studio録音
レーベル:
Grooklyn Records
在庫切れ 可能な限りお取り寄せ致します
国内製作 デジパック仕様CD
<中井勉 プロフィール>
ニューヨーク在住。
1997年ニューヨークへ渡米。その後ニューヨークブルーノートやスモールズ、ジンクバー、数多くのトップジャズクラブに出演する。ジンクバー主催のトップジャズギタリスト最高峰の祭典でもある、マスターギターシリーズに三度出演する。今までの主な共演者:マークターナー、ケニーバロン、ジミーヒース、ロニープラキシコ、田井中福司、渡辺貞夫、TOKU、その他多数。力強く美しい、シングルトーンが魅力である。
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