★Traurige Tropen(独)、ローヴィング・スピリッツ、NYX、D-musica、D-neoよりの諸作がいずれも高い評価を得ていた、キャリア豊富な実力派ピアニスト：高田ひろ子(大阪府出身)の、2013年に結成された鉄壁トリオによるライヴ編。
★折り目正しくきめ濃やかで流麗、それでいて歯切れのいい硬質感をも絶妙に覗かせる、ニュアンスに富んだ潤いあるセンシティヴ・タッチのピアノが、テンダーかつひっそりと密やかに抑えを利かせて小声で哀愁浪漫を囁きかけるかのような、落ち着いた静穏な風合いと切々と聴く者の胸に訴えかけてくる迫真の情動、とが掛け合わされた、殊の外美しいメロディーと仄かな物悲しさ溢れるリリカル・プレイを節度をもって典雅に紡いで、優しくまろやかでいて生鮮度抜群の華を成し、粛々と律動しながら雄弁に唄うベースや、結構シャープで多彩な刻みワザもしくはパンチ・キックを繰り出すドラム、らの芸の細かいサポートも豊かに機微を表しつつ見事にツボにハマッた、全編に渡り三者の以心伝心・当意即妙なるインタープレイの呼吸のアザやかさ、並びに主役ピアノの控えめそうでありながら奥深い余韻を残す熟練した語り口の粋、に心地よく魅了されるさりげない濃密内容。
★ヨーロッパ系の耽美抒情派ピアノ・トリオに通じるところのある、バップやブルースのテイスト云々よりも繊細なエレガンスや文芸色、アートっぽさが勝った印象の、しかしあくまで親しみやすく分かりやすい情緒性そして旋律&和声の端麗さが保たれた、せせらぎを思わせる流れるようなメロディアス快演が滑脱に展開され、小美濃(b)や岩瀬(ds)の安定した敏活なノリのよさと機略縦横の遊撃力を並行して発揮した生々しいバックアップ、に上手く触発されながら、高田(p)の、大層デリケートだがリキみの抜けた、ひたすら自然体の安らかさを維持して潮流に身を任せるが如き全く無理のない、独特の丸みを感じさせる即興妙技(ごくナチュラルにただ息をするような感じがある)が行間深く冴え渡って素晴らしい。
→切実な哀感や物憂さを衒いもハッタリもなくごくナチュラル・スムースに、かつ丁寧に掬い取ってゆくその、どこまでも穏やかでちょっと達観したようでもある独特の軽みを備えたメロウ&ソフトな筆の滑らせ様は鮮麗この上なく、しっとりとしていながらサラリとサバけた趣をも呈した文脈展開には誠に奥行き豊かな含蓄余情が認められ、そうした無欲恬淡そうな巧まざる懐深い弾鳴のあり様は、何とも云えぬ雅趣に富み蠱惑的でさえある。どこか漠とした寂しげムードが仄めく辺り(加えて微妙に籠もり翳った独特の録音手法・製響術)も妙味。
1. 秋音 (Akine) 9:06
2. ペルセウス流星群 (Perseid Meteor Shower) 10:11
3. 桜、散る (Falling Cherry Blossoms) 12:54
4. Es Muss Sein 9:25
5. 遠い道程 (A Long Way To Go) 11:58
6. １００３ 6:02
＊all composed by Hiroko Takada
高田 ひろ子 (piano)
小美濃 悠太 (bass)
岩瀬 立飛 (drums)
2022年4月6,7日千葉県市川市本八幡のCool Jojo jazz+artでのライヴ録音
レーベル：
D-neo
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
国内制作・見開き紙ジャケット仕様CD
