★ブラジル音楽並びにフォルクローレの名手で鳴らした人気ギタリスト:助川太郎(1973年東京都生まれ)と、80代となってもなお意気軒昂にさりげなく攻めた躍進を続ける和ジャズ・ピアノの独創的重鎮:渋谷毅(1939年旧東京府または旧東京市生まれ)、というオリジナリティ溢れる二人の、東京・高円寺のライヴハウス「グッドマン」で録られたデュオによるボサノヴァ曲集。
★シャープな張りやキレとまろやかな潤い感を併せ持ったきめの細かい端麗トーンのアコースティック・ギターが、切々としていつつエレガントでもある、徒然な散文詩の如く哀愁&サウダージをしっとりと歌い上げて誠に瑞々しい、そしてちょっと儚げな魅力を放ち、一方、抑えの利いた手堅い立ち働きでギターを花形として盛り立てながら粋で渋いこれまたしっかりよく歌うマイルド・リラクシングな醸熟節をやや恬淡に綴る、固く重心の安定したストーン・タッチ・ピアノの優しさ溢れる歯切れよいソリッド・プレイも、中々含蓄豊かで懐深い妙味を悠然と発揮しきった、全体を通じ落ち着いた穏和なムードの親密そうなやりとりが続いてホッと一息つかせてくれる、奥行きに富んだ快適内容。
★ウォーム&インティメイトな和気やリラクゼーションが音空間を支配し、リズムやテンポに起伏メリハリは適宜つけられるものの概ねバラード・コンセプトを旨とした、ごく親しみやすくも独特の切なさ・物悲しさがよぎる感じの詩的メロディアス妙演、が節度と気品をもってどこまでも丁寧に繰り広げられ、深い信頼と安心感のもとに交わされる両人のテンダーなリリカル対話〜即興カンヴァセーションがひたすら柔和に、たおやかに桃源郷めいた豊饒世界をゆったりと形作って、正に夢心地な至福の時が満喫できる。
★助川(g)の、ブラジリアン・ボッサ・スタイルを変らず根幹としてメロウ&フレッシュに微妙な憂さ・レイジー感を伴った渚のポエティシズム的情景を丹念に映し出し、時には鋭敏でスピーディーなキレ味を強化したメランコリック・アクション技をダイナミックに繰り出すところもある、総じてロマネスクな南国詩情の化身然とした弾鳴のあり様が清新この上ない煌めきを瞬かせて卓抜で、かたや渋谷(p)の、肩の力を抜いた自然体調子を保った無欲で淡々とした諦念・達観めいた穏やかな安らぎフレーズを唄うも、その一音一音には何げに磨き抜かれ研ぎ澄まされたバピッシュ&ブルージーなコク・芳醇さが確固と漂う、という、さすが伊達に年季を重ねてはいない、あくまで端正なそうした鳴動具合には、巧まずして深遠なる幽玄=行間雅趣が顕れていてまた絶品。
1. Igrejada Penha (Guinga)
2. Waiting Rejoicing Spring (助川 太郎)
3. Lawns (Carla Bley)
4. Pradizaradeus (Edu Lobo)
5. Lugarcomun (Joao Donato)
6. Simples Carinho (Joao Donato)
助川 太郎 Taro Sukegawa (acoustic guitar)
渋谷 毅 Takeshi Shibuya (piano)
高円寺(東京都杉並区)「グッドマン」での録音
2022年日本作品
レーベル:
GardenNotes Music
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国内制作CD
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