CATFISH RECORDS

★World Culture MusicやCriss Crossよりの諸作に好評を得てきた人気ギタリスト：マイク・モレーノ(1978年米テキサス州ヒューストン生まれ)の、今回は、ピアノ、ベース、ドラムとのカルテットによるスタンダードな映画主題歌集。

★各曲の冒頭部や途中あるいは末尾などに当該曲が使われた実際の古典的映画のサウンドトラックから抜粋したと思しき短尺のセリフ音声が被ってくる、というちょっと凝った一種のサウンド・ドラマ風の趣向となっている。

★潤いと旨味に富み、メタリックなシャープネスや尖り感と丸っこい滑らかさの混在した芳醇トーンのギターが、硬質で苦味走った殺陣風の鋭角的バップ・アクションもしくはコンテンポラリー系統のヒネりを効かせたファンク節またある時はアコースティック調の音響に転じてのフォーキー・ブルージー文体、にアメリカン歌物の伝統にしっかり根ざした粋なマイルド・メロディック・フレージングを巧みにドッキングさせて、トータルとしては親しみやすいが決して甘すぎないリアル・ジャズならではの張り詰めた緊迫感や骨太のグルーヴ十二分の中々渋い音像に仕上げ、コクと風格ある華を泰然と成し、一方、固く堅牢な抑えの利いたモーダル・バピッシュ技でスクエアーに安定感を齎すピアノ以下、リズム隊のガッシリ・ガッチリしたダイナミックなサポートもノリとスリルを的確に醸成して頼もしい魅力を放った、全編極めて真っ当な現代流テイスティー・グルーヴィー快演の連続で安心してノセ、豊饒気分を満喫させてくれる充実内容。

★レパートリーに由来するところもあってバラード的コンセプトに寄った傾向が認められるが、しかし完全な寛ぎ路線にはなって行かずリラクゼーションの中にも武骨で鋭敏なハード・バップらしい躍動感がそこかしこで炸裂する、上手い均衡点に着地した歌心とブルース・フィーリング溢れるリリカル奏演が重み&厚みをもって雄々しく展開され、芸達者で結構表情多彩なサイド陣の機動力あるバックアップに刺激を受けつつ、モレーノ(g)の、腰を据えて手加減なく全力全霊を傾注しきる感じの伸びやかなアドリブ奮戦がこってり濃い冴えを、盛り上がりを呈して壮快だ。

→陰影豊かでハードに角張った立ち回りの型っぽいバップ・イディオムを活かしてのダイナミズム表現を一つの柱にはしているものの、例えばベンソン〜グリーン系とかバレルやケッセルといったブルース系バップ・ギターの正統からはちょっと外れて、そうしたダーク・ビターでシブ〜いバップ節がいつしか今流のファンク・ジャム的な風趣(これがもう一つの柱)へと推移して、気がつけば現代グルーヴ色の強い、ちょっと裏返るような反りも利いたシャープで哀切な雄叫びを上げるが如き輪郭の太くクッキリした鮮烈なる吟醸鳴動を成している(ジョンスコ辺りとはまた一味違ったいい意味での好もしい"ヒネクレ感"がある)、というサウンドのあり様には、一切ブレていない鋼のような骨芯の通ったユニークな個性が確固と息づいていて旨さ格別、説得力も充分。

★堅実にして丹念なソリッド・アクションでハードボイルドに追撃してくるフォートナー(p)の助演も好アクセント。

01. Beautiful Love 2:33 (solo guitar)
02. You Stepped Out Of A Dream 5:30
03. There Will Never Be Another You 6:55
04. Stella By Starlight 6:39
05. Laura 8:17
06. I Fall In Love Too Easily 7:31 (g & p duo /※途中ds音が微かに聞こえるてくるような気もする?空耳か?)
07. On Green Dolphin Street 7:01
08. My Foolish Heart 4:17
09. Invitation 8:07
10. Days Of Wine And Roses 9:44

Mike Moreno (guitar)
Sullivan Fortner (piano except 01)
Matt Brewer (bass except 01,06)
Obed Calvaire (drums except 01,06?)

2021年12月22日ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのthe Samurai Hotel Recording Studio録音

レーベル：Criss Cross

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