CATFISH RECORDS

★フランスBlue NoteやNaïve、Nocturne、Futur Acoustic、Bonsaï Music他からの多種多様な趣向の作品群に好評を集めてきた、仏パリを拠点に活動するイタリア血筋のオールラウンド・ピアニスト：ジャン=ピエール・コモ(1963年フランスのパリ生まれ、両親はイタリア人)の、今回は、デンマーク出身の超多忙な人気ベーシスト：トーマス・フォネスベック(1977〜)＆スウェーデン出身(活動拠点はデンマークか?)の中堅ドラマー：二クラス・カンパニョル(1973〜)、というスカンジナヴィアン・リズムと組んだトリオによる、スタンダード曲を中心としたコペンハーゲン録音の一作。

★折り目正しく端麗でいて歯切れのいい鋭角性や硬質感も備わったクリアー・タッチのピアノが、ヨーロピアンならではのロマンティックな抒情傾向やクール・マイルドな唯美色の濃い、と同時にモーダル・バップの正統らしいダイナミック・アクション性も豊富に絡めた躍動型のメロディック・プレイを敏活滑脱に紡いで、スッキリとした爽やかな華を成し、一方、猛烈にスイングしながら雄弁に唄うコク味こってりのしなやかベースや、シャープ&スピーディーに安定した精確さをもって空を刻んでゆく俊敏ドラム、らのそれぞれに芸達者なサポートもノリとスリルと旨味を的確に醸成して頼もしい魅力を放った、全体を通じごく明快な旋律美やポエティシズムと立ち回りの迫真力に満ちた小気味のいい邁進が続いて、清々しく愉しませる好演内容。

★歌心とスイング感にポイントを絞り、ブルース・フィーリングやバップのエッセンスも巧まず自然に息づいた、アクティヴ・リリカル系ピアノ・トリオの本道ド真ん中を突き進むごく親しみやすい娯楽指向の詩的快演、がイキイキと展開され、フォネスベック(b)やカンパニョル(ds)の隅々まで気配りの行き届いた濃やかなバックアップにしっかりと支えられ、またセンシティヴに触発されながら、コモ(p)の、あくまで分かりやすい正攻法勝負のアプローチを基本とした中々エンターテイニングなアドリブ妙技が、生鮮度抜群に冴え渡って爽快だ。

→ハービー・ハンコック辺りのスタイルをよりライト&ソフトにヨーロピアン化した、とも云うべき、しっとりと哀愁浪漫を映し出しつつメインストリーマー気質の力学性・ダイナミズムも絶やさない、結構ストレートアヘッドめの芸風に軸足が置かれていてそのシンプルで潔い行き方には大いに好感が持てる(実際トータル的にはユーロ・カラーはそれほど強くない印象だ)が、転回として、オスカー・ピーターソンにも底通するアクロバティカルな速弾き曲芸ワザを炸裂させたり、バラード的局面にあってはクラシックに接近した感じの暗影濃い内省型の情景描写に深みを見せたりと、大凡は真っ当路線で進みながら何げに只者でない突出個性も時折顔を出して、上手い按配で飽きさせない。

01. You And The Night And The Music 6:16
02. You Don't Know What Love Is 4:03
03. Oleo 3:29
04. Stella By Starlight 10:08
05. Triste 5:26
06 Leading To… 1:13 (piano & possibly drums duo?)
07. My One And Only Love 5:29
08. Bye Bye Blackbird 5:10
09. Lover Man 6:27 (piano & bass duo)
10. Starry Sea 2:54 (solo piano)

Jean-Pierre Como (piano)
Thomas Fonnesbæk (double bass except 06, 10)
Niclas Campagnol (drums except 09, 10)

デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recording Studio録音
(2022年フランス作品)

レーベル：Bonsaï Music

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デジパック仕様CD