CATFISH RECORDS

★フランス南部に生まれ、米国コネチカット州で育ち、現在はカナダのトロントを拠点に活動している女性歌手：ローラ・アングラードの、Justin Timeでの2作目、＝(前作でも共演していた)ギターのサム・カーメイヤーとのデュオを基本とした(2曲にアコーディオン加わる)フランス歌曲集、にボーナス・トラック1曲をプラスした日本盤化。

★センスよく軽妙なグルーヴと瀟洒味に溢れた流れるが如きギターの調べに導かれて、澄んだ清潔感や透徹さとしなやかな張りを呈した中高音のクリーン・ヴォイスが、あくまで自然体で優しく呼吸するように、「語り」に軽く節をつけた感じのライト&テンダーなリリカル演唱を滑脱に綴って、瑞々しくも小粋な含蓄ある華を小気味よく飾った快演内容。

★インティメイトな和気やちょっと狭めのラウンジっぽいリラクゼーションを変らず底流させた、趣味よく洒脱な機智っぽさ・エスプリっぽさと安定した敏活なスイング感一杯の、思わず心なごむメロウ・ムーディーな行き方が続き、1曲1曲は適宜簡潔にまとめられたテンポよく進む快調な道程の中で、カーメイヤー(g)のデリカシーとニュアンス(+ウィット)に富んだ実に芸達者でモダニッシュ&バピッシュなプレイが、物語的世界の下地をしっかりときめ濃やかに形作って殊の外鮮麗なる魅力を放ち、これに温かく支えられ、触発されて、アングラード(vo)の、軽妙なソフィスティケーションと切々とした哀歓を並行体現する、どこまでもまろやかな風合いに満ちた歌い回しがソフトでシャレていつつ切なくもある、ちょっと儚げな妙味を揮って卓抜だ。

→フランス出身者らしくシャンソン歌手のようなストーリーテリング・タイプの小噺的な抒情派スタイルを身上とし、一語一語に誠心込めて歌詞とメロディーをあくまで大切にした落ち着きと節度ある行間豊かなウィスパリング節を端正に紡ぐが、と同時にその語法には時折スキャットも盛り込むなど結構バピッシュなジャズ・ヴォーカルらしいグルーヴ感覚も豊富に備わっており、そうしたシャンソン・テイストとリリカル・ジャズ色を自然に融和させた歌声のあり様は、この上なく清新かつイキな蠱惑性を漂わせて絶品。

01. シェ・モア
02. ５月のパリが好き
03. マクサンヌの歌 (ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング)
04. 残されし恋には
05. 愛の言葉を永遠に
06. プレシーの庭
07. 去りにし君
08. 泣かないで
09. ロレッタの家で
10. 今朝
11. リラのワルツ (ワンス・アポン・ア・サマータイム)
12. 暖かい12月 (bonus track)

Laura Anglage ローラ・アングラード (vocal)
Sam Kirmayer サム・カーマイヤー (guitar)
Ben(Benjamin) Rosenblum ベンジャミン・ローゼンブルーム (accordion on 02, 09)

2022年カナダ作品(2021年4月モントリオール録音）
解説:島田奈央子

レーベル：Muzak (Justin Time原盤)

在庫有り
国内制作 見開き紙ジャケット仕様CD