★王立デンマーク音楽院に学び、1950年代後期よりプロとして活動、スタン・ゲッツ、デクスター・ゴードン、リー・コニッツ、ベン・ウェブスター、オスカー・ペティフォード、ケニー・ドーハム等々、来訪したアメリカのビッグネーム達とも数多く(悉く?)共演し、長きに渡ってデンマークのモダン・ジャズ・シーンを強力に牽引し続けたトランペット&フリューゲルホーンの最高実力者:アラン・ボチンスキ(1940年デンマークのコペンハーゲン生まれ、2020年死去)の、本盤は、自身はフリューゲルに専念した、ベント・イェディク(ts)、ヤコブ・フィッシャー(g)、イェスパー・ルンゴー(b)、アレックス・リール(ds)との強力クインテットによる、1996年7月6日コペンハーゲン、チボリ公園のジャズハウス「スロクエフター」での公演の模様を捉えた未発表ライヴ音源の初ディスク化=CD2枚組の発掘アルバム。
★温もりや旨味を潤沢に含んだまろやかな風合いと、シャキッとした鋭い張りやキレ、が渾然一体となった、中々ニュアンス&表情に富むおいしさ格別なトーンのフリューゲルが、ハード・バップ・トランペットの王道を行く陰影を帯びた凛々しく渋い敏活アクション咆哮と、明るく粋でハートウォーミングな歌謡フレージング、を織り混ぜつつ流麗滑脱に筆を進めてゆく、極めて真っ当な娯楽的プレイをイキイキと紡いで何とも清々しい華を成し、
一方、これまた純正ハード・バッパー然たるコクの利いたドライヴィング・ブロウを鷹揚げに繰り出すテナーや、シャープネスとホット・アーシーな吟醸感溢れるイナセっぽい立ち働きを見せるギター、らの活躍も主役フリューゲルとのコントラスト鮮やかにしっかり濃い魅力を放った、全体を通じ気さくそうな人情味満点の晴朗エンタテインメント快演が連続して、スッキリ爽やかに愉しませてくれる会心打内容。
★和気あいあいのインティメイトなリラクゼーションと開放感あるおおらかな威勢のよさや躍動性、とが自然に兼ね備わった、歌心とスイング感を何より大切にするごくシンプル・ストレートなリリカル・ハード・バップ大会、が嬉々溌溂と展開してゆき、いかなる場面にあってもクッキリ鮮明な輪郭と情緒的分かりやすさを絶やさない、直球勝負の実に楽しそうな道程の中、ルンゴー(b)やリール(ds)の重厚かつ敏捷な、ツボを心得た確たる安定律動的サポートにガッチリ支えられながら、ボチンスキ(flh)を始めとする銘々の、腰を据えて悔いなく伸び伸びと得意の至芸を揮いきったソロ・リレー・コーナーがひたすら順風満帆なる盛り上がりを、豊作ぶりを呈して全くゴキゲンだ。
★ボチンスキ(flh)の、ソリッドな立ち回りの迫真力でバッチリ昂揚させると同時に、優しくにこやかに微笑みを浮かべるかのようなマイルド&ソフトな唄節をも豊富に盛り込んで心地よく和ませてもくれる、という、一貫して余裕と節度を保った品格ならびに懐深さを感じさせる潤滑なメロディック吹奏が、旋律面でのイマジネーション(的中力?)も充実しきった(行間余情も豊かで)誠に鮮麗な冴え渡り様を示していて出色で、また、幾分かけだるくレイジー・スモーキーに悠々と哀愁を歌い上げるイェディク(ts)のレイドバックした寛ぎブロウも、結構しみじみと芳醇なウマみを立ち昇らせ、よりキリッとした緊張感ある鋭敏な動きで毅然げにアクセントをつけるフィッシャー(g)の凛々ワザも、ハードボイルド&ダウン・トゥ・アースに頼もしく気を吐くなど、共演陣もそれぞれこってりテイスティーに絶好調ぶりを見せていて、一瞬たりともハズレがなくナイス。
CD 1:
1. Four
2. A Song For Anna Sophia
3. It's You Or No One
4. I Thought About You
5. What's New
6. Donna Lee
CD 2:
1. What Is This Thing Called Love
2. All Of You
3. Rhythm-A-Ning
4. It Might As Well Be Spring
5. I'll Remember April
Allan Botschinsky アラン・ボチンスキ (flugelhorn)
Bent Jædig ベント・イェディク (tenor saxophone)
Jacob Fischer ヤコブ・フィッシャー (guitar)
Jesper Lundgaard イェスパー・ルンゴー (bass)
Alex Riel アレックス・リール (drums)
1996年7月6日デンマーク-コペンハーゲン、チボリ公園 ジャズハウス「スロクエフター」(Jazzhus Slukefter)でのライヴ録音
(2022年デンマーク作品)
レーベル:
Stunt
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紙ジャケット仕様2枚組CD
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