★人気歌姫シモーネ・コップマイヤーのバック等で辣腕を揮って来、せんだってのリーダー作「Let's Face The Music」(Challenge)も好評を博していた、オーストリアの実力派中堅ドラマー:ラインハルト・ヴィンクラー(1970年オーストリアのハルトベルク郡生まれ)の、今回もまた前作に続いてハリー・アレン(ts)やジョン・ディ・マルティーノ(p)らとのカルテット(ベースのみ前作のボリス・コズロフから今回はデズロン・ダグラスに交代している)を基本に、4曲でS・コップマイヤー(vo)も加わって来つつの一編。
★キレ味シャープにして濃やかなニュアンスをも丁寧に体現するドラムの、中々気配りの利いたセンシビリティや優しさを感じさせる精緻なリズム刻みもハートフルに魅力を浮かび上がらせる中、悠々とリラックスした調子でしかし力強いドライヴ感も一杯に哀歓を歌い上げるテナーの、ソフト・スムースかつタフ&ダイナミックな滑脱吹奏や、コツンと固いストーン・タッチで渋めの殺陣的バップ語法とイキな歌謡フレージングのブレンド技をキビキビ繰り出すピアノの堅実プレイ、時折現れては涼やかで妖艶な個性を軽妙に振りまく女性ヴォーカルの和みめ演唱、などがそれぞれに存在感〜スター性も十二分に嬉々溌溂と見せ場を繋いでゆく、全編徹底して親しみやすい人情味と温もり豊かな快演が連続して、ホッと心地よく安心させ、一息つかせてくれる極楽内容。
★インティメイトな和気あいあいのリラクゼーションを変らず底流させた、ごく平易で取っ付きやすい歌心と小気味よいスイング感の表出を何より大切にしての寛ぎリリカル・バピッシュ(またはモダン・スイング調)奏演、が優しく愉しげに展開され、リズム陣のツボを心得た確固たる安定感ある鉄板サポートにガッチリ支えられつつ、一座の花形役を担うアレン(ts)の、肩肘張らず伸び伸びと脱力して滑らかに波に乗る感じの、巧まざる自然体調子のメロウ&ウォームなアドリブ妙技が、さすがよく熟成された鮮麗なる冴えを見せてゴキゲンだ。→例によってリキみを解いたまろやかな吐息のような風合いの流線形的スモーキー・メロディック節を、ちょっぴりけだるさを伴いながら軽々とナチュラルに綴り、時にはゲッツのアクション面に接近したイメージのハード・ドライヴィング咆哮をも雄々しく炸裂させてメリハリをつけ、トータルとしてはあくまで悠然と構えた懐も深そうな鷹揚なる吹鳴キャラにごく朝飯前に仕上げて見せる、その芳醇にして自若の趣は絶品。
★清潔感ある声色で、ある時はしっとりと耳元に囁きかけるようなムーディー&テンダーなバラード表現を、またある時はスキャット技も交えた溌溂たるスウィンギン・グルーヴ醸成を見せる、コップマイヤー(vo)の登場するや華々しく主役の座をさらうきららかな活躍、並びに、硬質骨太な立ち回りで全体の重心を支える(抑え役?)ディ・マルティーノ(p)の堅牢弾奏、といった辺りも魅力満点。
01. Swinging At The Haven (Ellis Marsalis) 4:33
02. Bossa Nova U.S.A. (Dave Brubeck) 3:09
03. Poor Butterfly (Raymond Hubbell / John L. Golden) 4:45
04. Moonlight Serenade (Glenn Miller / Mitchell Parish) 3:48
05. Flying Home (Benny Goodman / Lionel Hampton) 4:12
06. Smoke Gets In Your Eyes (Jerome Kern / Otto Harbach) 4:53
07. Didn't You Say (Simone Kopmajer) 4:15
08. Samba de Orfeu (Luiz Bonfá / Antônio Maria) 5:16
09. Have You Met Miss Jones (Richard Rodgers / Lorenz Hart) 4:52
10. I've Got You Under My Skin (Cole Porter) 5:05
11. Almost Like Being In Love (Frederick Loewe / Alan Jay Lerner) 3:54
12. Struttin' With Some Barbecue (Lil Hardin Armstrong / Don Raye) 3:39
Harry Allen ハリー・アレン (tenor saxophone)
John di Martino ジョン・ディ・マルティーノ (piano)
Dezron Douglas デズロン・ダグラス (bass)
Reinhardt Winkler ラインハルト・ヴィンクラー (drums)
Simone Kopmajer シモーネ・コップマイヤー (vocal on 04, 06, 10, 11)
2022年3月3&10日米ニュージャージー州パラマスのテデスコ・スタジオ(Tedesco Studios)録音
レーベル:
Challenge
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