★1960年代末期より東京のライヴ・シーンで活動(当初はアルトサックスをプレイ)、川崎瞭、ジョージ大塚、鈴木宏昌、日野元彦らのサイドや自己のコンボで精力的に活躍を続け、長いキャリアの割には寡作ではあるが過去凡そ半世紀来優れたリーダー・アルバムも残してきた、テナーサックス&ソプラノサックスのヴェテラン名手:山口真文(1946年佐賀県唐津市生まれ)の、今回は、平素より信頼を寄せる小牧良平(b)&本田珠也(ds)とのピアノレス・トリオによる一編。
★重厚で迫力溢れるベース&ドラムのダイナミック・スウィンギン轟鳴に導かれて、引き締まっていながら滑らかさや丸みもおのずと備えた美味トーンのテナーが、適度に脱力した自然体調子を保ってしかし抑揚豊かに朗々と哀愁歌謡的メロディーを綴り、並行してバップやブルースに由来したグルーヴ節もふんだんに盛り込むという、硬派でいて人情味に満ちた旨口な正攻法プレイを流麗に繰り出し続けて堂々と、そして泰然と揺るぎなげに華を成した、さすが巧まざる熟成度を大いに感じさせる豊饒内容。
★歌心とスイング感に重点を絞り、バップ、ブルース、モードに根を張ったノリやウマみもごくナチュラルに顕された、雄々しく勇ましくも温もりある直球勝負のハード・バピッシュ快演が、重みをもってイキイキと精悍に展開され、太く分厚い音響でウネりを利かせて躙り寄る小牧(b)や、精確に律動すると同時にゲリラ猛襲風のフェイント・アタックも多々仕掛けてくる本田(ds)、の遊撃力充分の機略縦横なるサポートにガッチリ支えられ、またスリリングに煽られて、山口(ts)の、ドッシリと重心の安定したブレのなさ・自若さとニュアンス濃やかなセンシビリティ、を併せ持った何げに表情多彩なアドリブ妙技が、豪快鷹揚に冴え渡って素晴らしい。
→ロリンズ辺りにも底通する図太く逞しいドライヴ感をほとばしらせながら渦巻きウェイヴを描くように躍動し、ブルージーな吟醸的フレーズを唄いきる、その作為なげで悠々と構えた風な質実剛健たる滑脱咆哮のコク旨感・芳醇さは格別で、バラードでの「タフガイの豪放な嘆き」っぽいナイーヴな憂愁表現や、ソプラノに持ち替えての一転して繊細慎重に機微を込めてゆく奥深いリリカル吹奏、などの転回にもまた瑞々しい妙味があって絶品。
1. Stella By Starlight
2. Round Midnight
3. Summertime
4. Someday My Prince Will Come
5. Solar
6. Everything Happens To Me
7. The Night Has A Thousand Eyes
8. Yearnin'
山口 真文 Mabumi Yamaguchi (tenor saxophone except 3) (soprano saxophone on 3)
小牧 良平 Ryohei Komaki (bass)
本田 珠也 Tamaya Honda (drums)
2021年12月11日東京 NK SOUND TOKYO録音
レーベル:
Days of Delight
在庫有り
国内制作CD
VIDEO