★ドラマーのLukas Kleemairを筆頭(リーダー格か?)に、ピアニスト:Urs Hager(1996〜)、ベーシスト:Tobias Steinrückの3人で2015年に結成されたオーストリアの新世代ピアノ・トリオ=LUTrioのアルバム第1作目。演目はKleemairのオリジナルの他、ベニー・ゴルソン作品、チック・コリア作品、ビートルズやエリック・サティのカヴァーなど。
★骨太く硬質堅固で鋭角的キレを有し、また透明感と濃い陰影を併せ持った、打鍵の強いストーン・タッチのピアノが、スマートだったり熱情的だったりのモーダル語法や、殺陣の型っぽいシブめのバップ・イディオム、アーシーなブルース的小節、などを微細にミックスしつつハードな力学性と粋なメロディーの美が自然に並立する、基本はあくまで硬派でオーソドックスな敏活プレイを溌溂と紡いで、中々ガッシリした重みも充分の華を成し、表情豊かに唄うが如くビートを刻むドラムや、強烈にバネとウネりを利かせて波打つようにドライヴするベース、らの確固たるサポートもばっちりツボにハマッて頼もしい魅力を放った、全体を通じ正攻法勝負にほぼ徹したド真っ当な進撃が連続して、スカッと壮快に昂揚させ、また吟醸的旨味を堪能させてくれる好演内容。
★強硬でソリッドなダイナミズムやスイング感と、明朗で親しみやすい歌心やブルース・フィーリング、を揺るぎなくしっかりと堅持した、現代ハード・バップ系ピアノ・トリオの本道を真っ直ぐに突き進む娯楽活劇風の躍動的熱演!、が意気軒昂そうに精悍さをほとばしらせつつ歯切れよく展開され、安定律動力とゲリラティックな遊撃奇襲性を兼ね備えたドラム(→結構ニラみを利かせた黒幕ぶり?)&ベースの的確バックアップ、にガッチリ支えられ、触発されて、一座の花形役を担うHager(p)の「頑として硬派街道まっしぐら」なアドリブ奮戦が、雄々しく堂々たる冴えを見せてゴキゲンだ。
→バラードや歌物(加えてサティ曲)とかでは、現代ヨーロピアンらしいクール&センシティヴな半瞑想的アプローチも適量盛り込んで転回アクセントをつけるが、その本性は紛れもなく正統派メインストリーマー体質であり、即ち、60年代のハービー・ハンコック辺りの芸風を確たる出発点として幾分か純正バップに寄せたような印象の、乾いたタッチを活かしての固く尖ったパーカッシヴ・アクションとイナセで渋いファンキー節を織り混ぜながら脇目もふらずガンガン突撃してゆく、その半ば職人芸っぽくもある鮮明で分厚くブレのない弾鳴のあり様(若いに似合わずコク旨なキャラ!)は何げに圧倒的な気魄に満ち、説得力も抜群。
1. A Melody Stuck In My Head (4:40)
2. Hamstering (6:51)
3. Sheep Low (7:16)
4. Silent City (6:03)
5. Gymnopedie No. 1 (5:35)
6. Stablemates (6:12)
7. Dear John (5:32)
8. Blackbird (7:32)
9. Matrix (5:37)
Urs Hager (piano)
Tobias Steinrück (bass)
Lukas Kleemair (drums)
2022年オーストリア作品
レーベル:
ATS
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見開き紙ジャケット仕様CD