★Dimmaに多数の吹き込みを残すアイスランドのオールラウンドな個性派ギタリスト:アンドレス・ソールの、ベース&ドラムとのトリオによる自作曲集。
★翳った濁り感と澄んだ潤いを併せ持ち、旨味もたっぷり含んだ厚みあるトーンのギターが、バピッシュな殺陣の型っぽい渋めの節回しや、コンテンポラリー感覚のビター&ダークなアクション、ちょっとフォーキーな匂いも漂う哀愁のブルージー・バラード・フレーズ、などを巧みに組み合わせて情感の推移変遷を動的に表したメロディック・プレイを滑脱に紡いで、爽快にしてコクのあるアジな華を成し、これに細かく自在に絡みついてゆく粘性あるベースや、キレ味シャープに躙り寄るが如き歩調でスリルとグルーヴを的確に醸成するドラム、らの助演もしっかりテイスティーに魅力を際立たせた、全体を通じ今時らしい妖しめのサスペンスも認められるもののあくまでメロディーの美やブルース・フィーリング、抒情性を大切にした行き方で分かりやすく愉しませてくれる好演内容。
★大雑把に見るならエヴァンス・トリオをギターに置き換えて甘さを控えめにした、とでも云えそうな、詩的なリリシズムとインタープレイの要素をふんだんに有するひたすら歌心に満ちたロマネスク快演が展開され、ベース&ドラムの機略縦横なる遊撃に上手く触発されながら、ソール(g)の、仄暗くビタースウィートな語り口を持ち味とするアドリブ妙技が簡潔に、しかも余情豊かに冴え渡って素晴らしい。
→今日流バピッシュ・ギターの一典型を示した、苦味走った陰影濃いハードボイルド調の立ち回りフレージングや、ロックorフォークの影響を感じさせるアンニュイなブルース・プレイ、ビル・フリゼールやパット・メセニー辺りにもどこか通じるところのある安らいだ牧歌的アプローチ、アコースティックに持ち替えてのセンシティヴ&メランコリックなしっとりとした憂愁バラード、などその語法は中々多彩だが一貫してメロディアスな親しみやすさを失うことはなく、加えて決して弾きすぎず腹八分目っぽく手短かに文脈を切り上げて、後には幽玄めいた余韻が風流に残る、という、そうしたどこか悠然と構えた感じの懐深いストーリーテリングには実に深遠なる(そして風格も堂々として揺るぎない)妙味があり絶品。
1. Hereby
2. The Man Who Came To Play
3. Teebreeze
4. Stóísk
5. Whisper
6. Gagarin
7. Spor
8. Summernight
9. December Cucumbe
Andrés Thor (guitar)
Nicolas Moreaux (double bass)
Magnús Trygvason Eliassen (drums)
2021年6月アイスランド-モスフェットルスバイル(Mosfellsbær)のStudio Sundlaugin録音
レーベル:
Losen
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