★現代感覚溢れるテナーサックスの個性的実力者:ウォルター・スミス三世(1980年米テキサス州ヒューストン生まれ)が、その馴染みの相棒である進歩派ギタリスト:マシュー・スティーヴンス(1982年カナダのトロント生まれ)とのコンビネーションを核として立ち上げたコンボ(クインテット)・プロジェクト:In Commonによるアルバム第3作。
★今回はリズム・セクションにフリー派女流のクリス・デイヴィス(p)、重鎮デイヴ・ホランド(b)、女帝テリ・リン・キャリントン(ds)という強力な顔ぶれが新たに参戦。
★肉太くも微妙に掠れを利かせて唸るようなテナーの、締まりとユルみが混在した中々ダウン・トゥ・アースでもある遊泳的吹鳴がコク深く悠然と華を成し、一方、分厚く堅牢なトーンでブルージー・ファンク・ジャム調の躍動的フレーズを繰り出すギターも鋭くグルーヴィーに拮抗、また、渋いバップ・スイングとアブストラクトな乱調の間を自在に往来するピアノがスパイス効果も抜群の硬質なアクセントを形作り、加えてどっしりヘヴィーでスケール壮大かつ敏活な突撃を見せるベース&ドラムの立ち回りも迫力満点にノリを高めた、全体を通じ妖しい摩訶不思議感と圧倒的推進パワーのない交ぜになったカラフルなグルーヴ・アクション大会が連続して、理屈抜きに昂揚させられ、感動させられる敢闘内容。
★概ね、「ハード・バップ寄りのアコースティック・ファンク」的スタイルで結構ノリノリに邁進してゆく、"グルーヴ物"タイプのメリハリに富んだアクティヴ熱演がスリリングかつエモーショナルに展開され、フル・メンバーでガッチリと律動的にノり躍動するバピッシュ・ファンク路線を基軸とするも、並行してデュオやトリオによるインタールードっぽい実験的即興インタープレイ・トラックが交錯してきて、ちょっと煙に巻かれそうにもなる幻惑力充分の道程の中で、しかしあくまでしっかりと「ハード・バップ」に根を下ろしたスミス(ts)の滑脱スムースで旨味たっぷりの流線形的スモーキー・ブロウや、同じくバップを基調としたホランド(b)の力強いドライヴぶりが、ともすれば乱脈と化しそうな行き方の途上で懸命に「グルーヴィーな下地」を支え続けるかの如くバッチリ芳醇なる映えを示して、実にテイスティー・ブルージーに愉しませてくれる。
★ファンク色の濃いエッジの効いた殺陣速攻や不穏で怪しいノイジー・インプロを嬉々としてカマしてくるスティーヴンス(g)のやんちゃな暴れ様、並びに、オーソドックスにメロディアスなバップ節を歌っていたかと思えばいつの間にかフリーな領域へ突入していたりもするデイヴィス女史(p)のソリッド・プレイ(1980年カナダのヴァンクーヴァー生まれ、このグループでは新参だがスミス&スティーヴンスとしっかり三つ巴に絡む大活躍を見せている。さすがフリー系で異種格闘技的に鍛えに鍛え抜いた百戦練磨の猛者!)、辺りの香辛料効果も覿面。
01. Shine 1:40 (ts & g duo)
02. Loping 5:07
03. Oliver 2:40 (ts-g-p trio)
04. Hornets 3:46
05. Orange Crush 3:18
06. After 5:21
07. Lite 1:59 (ts & g duo)
08. For Some Time 3:10
09. Shutout 4:27 (ts-g-p trio)
10. Reds 3:50
11. Variable 3:02
12. Prince July 3:09
13. Dust 5:26 (ts-g-p trio)
14. Familiar 4:09
15. Miserere 3:44 (ts-g-p trio)
Walter Smith III (tenor saxophone)
Matt(Matthew) Stevens (guitar)
Kris Davis (piano except 01, 07)
Dave Holland (bass except 01, 03, 07, 09, 13, 15)
Terri Lyne Carrington (drums except 01, 03, 07, 09, 13, 15)
2021年6月4-6日Clubhouse録音
レーベル:
Whirlwind Recordings
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デジパック仕様CD
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