★ハービー・ニコルスに師事し、1960年代はウディ・ハーマン、クインシー・ジョーンズ、メイナード・ファーガソンらの一流楽団でプレイ、1970年代半ばには自己のビッグ・バンドで旺盛にレギュラー活動し、1970年代末にはニューヨークからロサンジェルスへ移住してアート・ペッパーらと共演、以来ウエストコーストを拠点に八面六臂の活躍を続け、コンボ&ビッグ・バンドで数多くの優れたレコーディングを残した、超絶技巧をあくまで平易明快に優しく活かしきる白人正統派トロンボーンの第一人者:ビル・ワトラス(1939年コネチカット州ミドルタウン生まれ、2018年カリフォルニア州ロサンジェルスで死去)の、本盤は、リズム・セクションを伴ったカルテットに一部パーカッション(ヴィブラフォンも兼務)も加わって来つつの快調な名演が聴かれる、1980年12月ハリウッド録音の傑作(Famous Door原盤)に、ボーナス・トラック1曲をプラスしたCD化版の、日本盤化・新装再発(限定プレス)。
★ソフトでまろやかな温もり感とクールなスマートネスを兼備したトロンボーンが、明朗な歌謡性と吟醸的ブルース・フィーリング溢れるメロディアス・スウィンギン・プレイを端正かつ精確に紡いで、ハートウォーミング&テイスティー・グルーヴィーな華を悠々と成し、イキで抑えの利いたピアノのシブめバピッシュ弾奏や、ライト感覚とファンク色を垣間見せるエレピの躍動、も実に的確にピタリとツボにハマッた、全体を通じ主役トロンボーンの折り目正しくも気さくそうな人情味に満ちた活躍が大層魅力的に際立って、思わずホッと安堵させられ、和ませられる快適内容。
★親しみやすいキャッチー&テンダーな歌心の表出と、歯切れよく敏活に揺動し律動するスイング感の醸成、に変らず主眼の置かれた、ブルース色にも富む単純明快な大衆娯楽的ハード・バップ奏演、が溌溂と愉しそうに続き、安定して闊達にノリのよさを齎すリズム隊のサポートにガッチリ支えられながら、ワトラス(tb)の、いかに動きの烈しいアクション場面にあっても一定の穏やかさ・柔和さ・落ち着きを絶やすことのない、どこまでも「リリカル」なアドリブ妙技が爽やかに、鮮麗に冴え渡って素晴らしい。
→さすが鍛えに鍛え抜かれ、磨きに磨き抜かれた無双のスーパー・ハイテクニックにしっかりと裏打ちされながら、しかしそれと意識させることなくあくまで飄々と軽やかに、嬉々として余裕をもって宙を舞い、ブルース由来の旨味を潤沢に含んだ粋渋節を綴ったり、歌物派の真髄然と優しくリラクシングに哀愁を映し出したり、時にはその超絶技巧を全開させて急速調のダイナミック・バピッシュ咆哮をシャープに炸裂させたりと、中々に表情多彩な、そして何げに芸の細かい立ち働きを見せるが、その吹鳴には一貫して瀟洒なジェントルマンらしい節度や気品、ウィットっぽさが失われることはなく、ゆとりをもってひたすら楽しげにプレイするそうした気分の暖かみや充実が聴いているこちらにもダイレクトに伝わってきて、誠に清々しい限りだ。ジム・コックス(p,elp)の、とりわけエレピでのグルーヴィーな猛ハッスルぶりも好アクセント。
1. ヒアーズ・ザット・レイニー・デイ
2. ブルー・アンド・センチメンタル
3. チャーメイン
4. ノー・モア・ブルース
5. ピッグ・ファーム
6. グッドバイ
7. ダイアン (※bonus track)
Bill Watrous ビル・ワトラス (trombone)
Jim Cox ジム・コックス (piano on 1, 2, 3) (electric piano on 4, 5, 6, 7)
Tom Child トム・チャイルド (bass)
Chad Wackerman チャド・ワッカーマン (drums)
Dave Levine デイヴ・レヴァイン (percussion on 1, 4, 5) (vibraphone on 1)
1980年12月4,5,8日米カリフォルニア州ハリウッドのSage & Sound Studios録音
(*原盤:Famous Door HL 136)
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ (Ultra-Vybe) Progressive
最新リマスター、日本語解説書き下ろし、
オリジナルジャケット使用
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