★円熟の好調ぶりが続く正統派モダン・ピアノの重鎮:アラン・ブロードベント(1947年ニュージーランドのオークランド生まれ、1966年渡米)の、今回もまた前作&前々作と同じく、ハーヴィー・S(b)&ビリー・ミンツ(ds)とのトリオによる、場所も同じブロードベントの自宅スタジオ(NY)で録られた一編。
★バネとウネりの効きまくった肉太ベースや、シャープに空を斬り刻む敏捷なドラム、らのスイング感満点のバックアップにしっかりと支えられ、温かく導かれながら、ゴロッとした石のように固く分厚い陰影に富んだ風合いと、より丸みを帯びた流線形っぽい滑らかさや潤い+透明感、を併せ持った、何とも味のあるタッチのピアノが、バップ・ピアノらしい硬派でシブめな殺陣風のダイナミック・アクションや、エヴァンスの流れを汲んだ弾力感ある耽美的ロマンティック・フレージング、モードの語法を踏まえたスマートでクールなジェントルイズムの醸成、更に時には軽涼なブロック・コードを使ったファンキー節、などをごく自然にミックスして流麗滑脱に筆を進めてゆく、ひたすらメロディアスでリリカルなプレイをイキイキと紡いで清々しくも人情味溢れる超おいしい華を成した、全般にフレッシュネスと熟成感とのナチュラルな融和具合が心地よいさすがの練達内容。
★歌心や詩的な抒情性と、安定感をもって重厚に律動するスイング力、加えて、ハード・バップ・ジャズならではの硬質堅牢な歯切れのいいダイナミズムや、「ブルース」の伝統に根を下ろした粋で渋い吟醸感〜旨味、などを徹頭徹尾大切にした、親しみやすく取っ付きやすい極めてオーソドックスな美旋律志向のバップ・ピアノ・トリオの理想形、とも云うべき強固さと柔軟さが無理なく共存した大衆娯楽、人情娯楽的な快活にして和気あいあいムードの行き方が続き、シュワルツ(b)やミンツ(ds)の手堅げでいて中々芸の細かいメリハリあるサポートに触発されつつ、ブロードベント(p)の、今回も自宅スタジオ録音というのが奏効して肩肘張らない普段着感覚、カジュアルさやプライヴェートさを好もしく顕示した自然体調子のアドリブ妙技が、簡潔かつ余情豊かに節度と気品ある冴えを見せて素晴らしい。
→自身のジャズ・ピアノ道、ジャズ・ピアノ人生の根幹ともなっているエヴァンス・タイプの甘美め・端麗めな機動的哀愁浪漫描写や、トリスターノの影響下にあるヒンヤリ冷たくパーカッシヴな力学的スウィンギン攻勢、といった得意ワザが伸び伸び悠々たる鮮やかな好調ぶりを示しており、更にその底にはパウエルを出発点としながらも決して黒くない白人固有のバップ・イディオムがシッカと脈打っていて、トータルとしては結構ハートウォーミングで柔和げな気取らない弾鳴キャラが巧まずしかし幽玄深く確立されている、辺りのその醸熟度や濃やかな雅趣っぽさは見事。
1. This I Dig Of You 6:26
2. Prelude To Peace 8:25
3. With The Wind And The Rain In Your Hair 7:18
4. Dance Only With Me 5:16
5. Airegin 5:58
6. Stairway To The Stars 8:19
7. Blue Pearl 4:45
8. This Is New 6:43
9. Yardbird Suite 6:24
Alan Broadbent (piano)
Harvie S (bass)
Billy Mintz (drums)
2021年4月29日&7月27日RVS Studio(Alan BroadbentのNYの自宅にあるプライヴェート・スタジオ)録音
レーベル:
Savant
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