★過去Alfa Music(Alfa Projects)に吹き込みを残すイタリアの女性歌手:パティ・ロムーショのセカンド・アルバム、=今回はケニー・バロン(p)、ピーター・ワシントン(b)、ジョー・ファーンズワース(ds)の強力アメリカン・トリオ(更に3曲でヴィンセント・ハーリング-asも加わる)をバックにした米ヴァン・ゲルダー・スタジオ録音の一編。
★落ち着いた端正で渋いピアノの弾鳴に導かれて、スキッと澄んだ清爽さや涼感に溢れ、またしなやかな張り&伸びを呈する、重心の安定したトーン高めのクリーン・ヴォイスが、ある時はクール・ドレッシーに理知性や様式美を強調した飛翔を見せ、ある時は一声一声に丁寧に真心を込めた親しみやすいしっとりムードの寛ぎバラード節を紡ぎ、またある時はスキャット技も交えつつ軽妙洒脱でスウィンギンなバピッシュ小唄を繰り出す、という、一貫してセンスよくウィットっぽさとブルース・フィーリングに満ちた基本は抒情指向の優しい演唱を綴って、フレッシュで爽やかな華を成した快投内容。
★バック陣の手加減抜きにリアル・ハード・バップ然とした敢闘を貫く重みと躍動感一杯のダイナミック演奏も、揺るぎなく敏活なグルーヴと濃い旨味を醸成して頼もしい魅力を際立たせつつ、インティメイトな和気あいあいムードも絶えない、気分はあくまでリラックスした趣味よきラウンジ・セッション風の行き方が小気味よくも歯切れよく続き、バロン(p)の非常に含蓄深い粋渋プレイを始めとするインスト・サイドのしっかり迫力ある鉄板サポートに支えられ、触発されて、ロムーショ(vo)の、肩肘張らない自然体で洒落た情緒をテンダーに活写し、それでいて堂々とこなれたノリやスリルの表出にも卓越したところを見せる、何げにメリハリの利いた半ドラマティックな歌い回しが鮮やかに冴えて清々しい。
→アメリカの寛ぎ小唄路線の伝統に深く根を下ろしたメロウで瀟洒で適度にブルージーな和み節や、本格派の「バップ・ヴォーカル」に接近した半器楽的要素も盛り込んでの躍動的グルーヴィー唱法、を大方の根幹としてイキでソフィスティケートな闊歩を見せ、時折今日のイタリアンならではの冷涼感やヨーロッパ出自のフォーキー・スピリチュアリティを仄めかしつつのユニークなロマネスク・フレージングも適所に滑り込ませて上手くアクセントをつけ、トータルとしてはあくまでナチュラルで軽やかで洗練された歌声イメージにすっきり収束させる、そうしたさりげなく磨き抜かれたハイセンスな語り口は説得力充分。随所で主役を喰う匠のワザを悠々披露するバロン(p)や、飄々と現れては熱いファンキー・ブロウで座をさらうハーリング(as)、らもさすがの存在感。
1. Lullaby (K. Barron / P. Lomuscio)
2. Star Crossed Lovers (D. Ellington / B. Strayhorn)
3. This Can't Be Love (R. Rodgers / L. Hart)
4. Left Alone (M. Waldron / B. Holiday)
5. You're My Everything (H. Warren / M. Dixon / J. Young)
6. E Se (M. Rosini)
7. Cedar Blues (C. Walton / P. Lomuscio & J. Farnsworth)
8. Body & Soul (J. Green / E. Heyman, R. Sour & F. Eyton)
9. Love Walked In (G. Gershwin / I. Gershwin) (vo & p duo)
Patty Lomuscio パティ・ロムーショ (vocal)
Kenny Barron ケニー・バロン (piano)
Peter Washington ピーター・ワシントン (bass except 9)
Joe Farnsworth ジョー・ファーンズワース (drums except 9)
Vincent Herring ヴィンセント・ハーリング (alto saxophone on 4, 7, 8)
2021年12月3日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studio録音
レーベル:
Challenge
こちらで試聴出来ます。
◎カートでお選びください。
●輸入盤CD → 在庫有り
●国内仕様輸入盤CD (解説付:寺島靖国(書き下ろし)) → 在庫切れ、可能な限りお取り寄せ致します
CD