★過去、「Tales From The Unexpected」(Intuition)、「European Trio」(jazz italiano live)、「Common View」(Challenge)、といったトリオ諸作で息の合ったところを見せてきた、イタリアの大御所:エンリコ・ピエラヌンツィ(p)(1949年イタリアのローマ生まれ)と、オランダの中堅:イェスパー・サムセン(b)(1973年オランダのBennekom生まれ)、の名コンビによるデュオ集、=バロック音楽にインスパイアされた9つの楽章から成る組曲仕立て(作曲はサムセン、アレンジは両者の共同)の一編。
★折り目正しくきめ細やかで一音一音がくっきりと鮮明に響く、キレと滑らかさが渾然一体化した端麗タッチのピアノが、優しくマイルドであり、同時に陰影濃くミステリアスなところもある、独特の奥深い哀愁的ロマンティシズムを適度な思索瞑想性も絡めながらじっくり描き出してゆくリリカル・プレイを丹念に綴って、瑞々しくも余情に富んだ幽遠なる魅力を放ち、一方、中々強烈にバネを利かせて跳ね躍るが如くパワフルにドライヴする肉太ベースの立ち回りも、ピアノと阿吽の呼吸を保ちつつ的確にグルーヴを醸成した、全体を通じ非常に奥行き豊かで、ある種の神妙さを多々感じさせるも親しみやすい「メロディーの美」を絶やさない、センシティヴな行き方が横溢して心地よくハマらせてくれる濃密内容。
★デリケート&インティメイトな緊密感でしっかりと結び合わされた二つの音体が、幾分か内省的に心象風景の移ろいをその隅々まで細かくスケッチしてゆく、かのような、テンポやリズムにも按配よく緩急変化がつけられるがほぼ一貫してバラード的コンセプトの底流する、美旋律と詩情の泉とも云うべきヨーロピアンならではの文学的浪漫主義演奏、が卓越したコンビネーションのもとに典雅に展開され、互いの一手一手に細密に感応しながら流麗滑脱にアンサンブルを推し進め、また各々の得意技を伸びやかかつ簡潔に揮いきるソロも鮮麗にキメる、両者の気力は充実しているも巧まずして抑制され制御された妙演が、含蓄深く冴え渡っていて素晴らしい。
★ピエラヌンツィ(p)の、曲により或いは局面に応じて様々に表情変化を見せる殊の外多彩な筆致のヴァリエーションを示した劇的インプロヴィゼーションを、あくまで事も無げにチョチョイのチョイと軽々繰り出してのけ、それでいてその弾鳴には深〜い誠心の込められ様、年季の入り様がしっかり認められる、ここでもやはり仄暗く物憂いピエラヌンツィ流アンニュイ幻夢の世界へ快適に誘引してくれるその、メロウ・テンダネスとハード・シャープネスが自然に共存した語り口の妙がさすが風流に、雅趣豊かに熟成された(加えて機微と清新味ある)絶好調ぶりを呈していて全く見事で、かたやサムセン(b)の、ピエラヌンツィの活躍を優しくニュアンス濃やかに盛り立てつつ、わりかしストレートにブルージーな哀歓を歌うテイスティー・バピッシュ技も好印象。
1. Pavane (3:51)
2. Menuet (4:31)
3. Ballade (4:47)
4. Sicilienne (3:53)
5. Sarabande (4:50)
6. Valse (3:51)
7. Air (4:48)
8. Courante (3:38)
9. Finale (5:06)
Enrico Pieranunzi エンリコ・ピエラヌンツィ (piano)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (double bass)
2022年オランダ作品
レーベル:
Challenge
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