★1960年代後期よりプロとして活動し、渡辺貞夫や菊地雅章のサイドを経て1973年に渡米、ニューヨークを拠点にプレイし、スタン・ゲッツ・グループ、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ、ビル・ハードマン&ジュニア・クック・グループのレギュラーを歴任、1985年に帰国し、以降、Matsuri、East Bounce、Bass Talk、Generation Gapといった自己グループを次々と立ち上げて精力的にライヴ活動&レコーディングを続けてきた、日本のジャズ界を代表するモダン・ベースの第一人者、百戦練磨のヴェテラン重鎮:鈴木良雄(1946年長野県木曽郡木曽福島町=現・木曽町生まれ)の、本盤は、2019年に結成された最新の自己グループである、峰厚介(ts)、中村恵介(tp)、ハクエイ・キム(p)、本田珠也(ds)という錚々たる顔ぶれのオールスター・クインテット:The Blendを率いての、2022年2月23日新宿ピット・インでのライヴの模様を収めた2枚組の白熱入魂作。
★ドッシリ感と強烈なバネやウネりをもって抑揚豊かにビートを刻み、また濃いスピリチュアリティを体現するベースの、雄弁でありながら同時にストイックな黙々さ・粛々さも湛える手堅く分厚い鳴動、にしっかりと支えられ、導かれて、太いトーンでアグレッシヴな怒涛の咆哮を繰り出す武骨で野性味溢れるテナーや、ピリッとした苦味と翳りあるハードボイルドな立ち回りを見せる敏捷トランペット、ゴツゴツした固く重い岩石をぶつけてくるようなピアノ、シャープ&スピーディーに空を斬りつつ結構ヘヴィーでドデカいパンチ・キックをもカマしてくるドラム、らが腰を据えて伸び伸びとエネルギッシュに見せ場を競い合ってゆき、全編圧倒的迫真力で聴く者を理屈抜きに興奮させる、極めて密度の濃いエキサイティング編。
★硬派で質実剛健っぽいシリアス筋モード・ジャズの正統スタイルに乗せた、武勇さと粋な歌心を併せ持つ雄大スケールの熱い現代ハード・バピッシュ演奏、が太く力強く豪快に展開され、コンポジション指向の周到なアレンジ構成とブローイング・セッション風の自由でおおらかな開放的盛り上がり、とを好バランスで並立させた(どちらかと云うと後者に比重あり、か)メリハリある道程の中で、銘々が悔いなく正々堂々と完全燃焼するソロ合戦コーナーが、ただならぬ煮え立ち様・豊作ぶりを呈して胸のすく思いだ。
★峰(ts)の、荒々しくワイルド&ストロングに轟然と吠えまくるパワー全開のモーダル・アクション攻勢に問答無用の真価を遺憾なく発揮する反面、わりかし瀟洒でマイルドな小唄性漂う生粋ハード・バッパー・タイプの寛ぎブロウを軽やかに決めるところもある、その懐深く泰然悠然とした吹鳴のあり様が重厚かつ超芳醇に映え渡っていてとりわけ傑出しており、また、中村(tp)の、純正ハード・バップ的文体を根幹に歌謡性豊かなキビキビした躍動を見せ、時には硬質感をより強化して更に険しい表情の雄叫びにも転じるビタースウィートな働きや、キム(p)の、ダークな瞑想的バラード表現あるいはアブストラクトなフリー寄りの辛口アプローチで毅然たるコワモテ・キャラを揮っていたかと思えば、ブルース色濃いアーシー&ファンキーな節回しに絶妙の吟醸感を立ち昇らせたりもする振り幅に富んだ劇的活躍、といった辺りにも青嵐めいたフレッシュな魅力があり、加えて、随所に浮かび上がってはウォーム&テイスティーなこってりした歌いっぷりを披露する鈴木(b)の、コクと睨みの利いた(そして温もりある)仕切り役ぶりも説得力絶大で好インパクト。
Disc 1:
1. Morning Glow
2. Gardens By The Bay
3. Let's Walk Towards The Sun
4. せせらぎ
5. Five Dance
Disc 2:
1. Afternoon Of Carnival
2. Part Blues
3. Memories
4. Moanin'
5. Stay Home Blues
*鈴木 良雄 The Blend:
中村 恵介 (trumpet)
峰 厚介 (tenor saxophone)
ハクエイ・キム (piano)
鈴木 良雄 (bass)
本田 珠也 (drums)
2022年2月23日新宿ピット・イン(Pit Inn)でのライヴ録音
レーベル:
Friends Music
在庫有り
国内制作2枚組CD