CATFISH RECORDS

★ヴェテランの風格も増してきたドイツの人気ピアニスト：クリストフ・ゼンガー(1962年旧西ドイツのヴィースバーデン生まれ)の、レギュラー・トリオによる円熟の好調ぶりを伝える最新スタジオ・ライヴ編。

★軽やかで滑らかな潤い感や丸みっぽさと、鋭いキレやアタック、を併せ持った、リキまず自然体で流すような風合いの中に巧まざる折り目正しさや端麗美も見え隠れする、何げにニュアンス濃やかなクリスタルもしくは清流を思わせる透徹タッチのピアノが、優しく趣味よく粋な歌謡性と吟醸的ブルース・フィーリング、硬派で渋いバップ由来の殺陣的アクション性、或いは、程好くケレン味を含んだ豪快な力学傾向＝ダイナミズム、更には、エヴァンスを出発点とする耽美的かつ動的なロマンティシズム、といった多彩な要素を組み合わせ、また絶妙に使い分けて、ごく軽快滑脱に歩を進めてゆく親しみやすさ抜群のメロディック・スインギー・プレイをひたすら流麗に紡いで、超おいしくも小気味よくチョチョイのチョイと華を成した、さすが哀歓豊かで熟成感溢れる会心の充実内容。

★和気あいあいの親密さや寛ぎ感覚と、開放的で雄壮敏活な力強いノリ(&押しの強さ)、が自ずと貫かれ、歌心とスイング感とに潔くポイントを絞り込んだ単純明快直球型の大衆娯楽的リリカル・ハード・バップ大会、が嬉々溌溂と愉しげに展開され、随所に浮かび上がっては温かで雄弁な歌いっぷりを見せるEngel(b)や、キッチリと手堅くツボを外すことのないシャープネスみなぎったSchirmer(ds)、らの活躍も確固たる鉄板のテイスティー・グルーヴを体現して頼もしい魅力を放つ中、花形主役:ゼンガー(p)の、肩の力を抜いて伸び伸びとナチュラルに得意の至芸を揮いきってほくほく顔そうな、殊更に飾り立てない普段着気分の行き方に悠々興じるアドリブ奮戦が、どこまでも晴れ晴れと朗らかに豊作ぶりを見せてゴキゲンだ。

→先ずは、軽涼感あるブロックコード弾きを活かしたR・ガーランド辺りに通じる瀟洒な寛ぎ小唄節、並びに、好もしいハッタリを利かせてアクロバティカルに速弾きダイナミズム攻勢を決め込むO・ピーターソン・ライクな突撃疾走ワザ、といった「ファンキー」・タイプのイナセなブルージー・ソウル濃い旨口アプローチを最も得意とする柱とし、それを変らず根幹に肉づけとして、エヴァンス・スタイルをヨーロピアン化したとも云うべきクーリッシュでジェントル・スマートな適度に甘い浪漫フレージングや、ちょっとバロックっぽくもあるクラシック奏法を独自に発展させた一種のクール・ジャズ的文体、バップ・ピアノの伝統に深く根を下ろした硬質な鋭角的立ち回り、などの小技も的確に加味して按配よくメリハリをつけ、トータルとしてはあくまで明朗鷹揚なるド真っ当ファンキー・バッパー然とした弾鳴キャラにいささかもブレるところがない、という、徹頭徹尾正々堂々たるそうした筆運び(さりげなくシッカと年季の入った醸熟感も十二分!)は旨さ芳醇にしてスカッと胸のすく壮快感に満ちている。見事。

1. Triste 7:54
2. Here's That Rainy Day 5:42
3. My Shining Hour 6:02
4. Lakonia 6:53
5. I've Never Been In Love Before 7:50
6. For Heaven's Sake 6:57
7. Expectant Quarantine 6:30
8. Just One Of Those Things 6:09
9. Darn That Dream 6:52

Christof Sänger (piano)
Rudi Engel (double bass)
Tobias Schirmer (drums)

2021年3月27日ドイツ-ダルムシュタットのSound & More Studioでのライヴ録音(Live Stream Concert)

レーベル：Laika

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
デジパック仕様CD