★20余年来、Curling Legsやディスクユニオン、Ozella Music等よりの諸作に好評を得てきた、お馴染みノルウェーの人気個性派ピアニスト:ヘルゲ・リエン(1975年ノルウェー リングサーケルのモーエルヴ生まれ)の、ちょっと久しぶりとなるニュー・アルバム、=今回はベースにヴェテランのヨハン・エイクが加わり、ドラムには一度グループを抜けていたクヌート・オーレフィアールが戻ってきた磐石のトリオ体制による、過去に発表したオリジナル曲群のセルフ・カヴァー集。
★きめ濃やかで透明感や潤いに富みながら同時にシャープなキレや硬角質っぽさも備え、深い陰影をよぎらせるところもあるニュアンス豊かなクリスタル風タッチのピアノが、繊細な耽美的ロマンティシズムや詩情に溢れ、なおかつダーク・ビターな内省感も適量自然に仄めかせての落ち着いたリリカル指向のメロディック・プレイを、しっとり優しくもちょっぴりサスペンスフルに紡いでキラキラ瞬くような瑞々しい華を成し、一方、たゆたうが如き浮遊感を漂わせつつ切れ味鋭く躙り寄ってくる感じの不穏さも帯びた、ドラムやベースのインタープレイ傾向の強い機動的サポートも、独自の波動型グルーヴや生々しい緊迫感を的確に高めてピリッとした魅力を際立たせた、全体を通じ奥行きある典雅な浪漫とのっぴきならぬ迫真のスリルとが各々目一杯に堪能できる、研ぎ澄まされ度もマックスの高密度内容。
★概ねバラードが基調を成すも上手いタイミングでハイ・スピーディーなフューチャー・ファンク風のアクション・グルーヴ熱演などが現れたりもして按配よく緩急メリハリもつけられる、徹頭徹尾メロディアスだが決して甘すぎずほろ苦くシリアスなムードを自ずと隠し味的にチラつかせての、現代ヨーロッパ流抒情派ピアノ・トリオのこれぞ真髄然とした硬軟自在のロマネスク演奏がセンシティヴに、そして飄遊するかのように、またある時は確固と力強く展開され、エイク(b)やオーレフィアール(ds)の抜群の遊撃力と歌心に立脚したゲリラ感あるバックアップに絶妙に触発されながら、リエン(p)の、殊の外鋭利敏感で気力も充実しきった清新この上なきアドリブ妙技が実に鮮麗に冴え渡って見事。
→マイルドでテンダーな吟遊牧歌詩人タイプの優しさと潤いに満ちた唯美的フレージングに何より得難い煌めきを感じさせる他、北欧的フォーク・エスニック情緒を暗め・ニガめに活用した憂愁節や、ちょっとレイジーなまどろみ気分を微細にスケッチしてゆくようなアンニュイ(&メディテーショナル)文体、といった翳り曇ったやや険しい表情の行き方にもしっかり味わい深いものがあったり、ファンク的局面におけるノリにノッたリズミカルな重厚ダイナミズム攻勢やブルージーなパーカッシヴ・アタック!辺りにも旨みと風格が満載されていたりと、今回はわりかし衒いなく伸び伸びとその練達した得意の至芸の数々を残らず披露しきることを愉しんでいる感じな、嬉々悠々たる「ヘルゲ・リエン・カタログ」風の世界が何げに快活に創出されていて、説得力も十二分に好もしい美味インパクトを残す。
Side A
1. Hymne Revisited 6:37
2. Liten Jazzballong Revisited 6:11
3. Spiral Circle Revisited 6:36
4. Gamut Warning Revisited 5:30
Side B
5. Meles Meles Revisited 4:35
6. Jasmine Revisited 6:16
7. Krystall Revisited 6:27
8. Nipa Revisited 5:09
Helge Lien (piano)
Johannes Eick (bass)
Knut Aalefjaer (drums)
2022年ドイツ作品
レーベル:
Ozella Music
在庫有り
完全限定輸入盤 180g重量盤(見開き)LP