★ドラムの吉田達也(1961年岩手県江刺市=現・奥州市生まれ)とピアノのスガダイロー(1974年東京都生まれ、神奈川県鎌倉市育ち)、という、日本のジャズ・シーンにデッカく風穴をブチ開ける急先鋒の二人がガッチリ組み合った(これが初顔合わせ)、超エキサイティングな即興デュオ・ライヴ編。
★音色もカラフルに圧倒的シャープネス&スピード感をもって猛然と絨毯爆撃を仕掛けてくる雷神の如きドラムと、硬質かつ重厚そして敏捷に凸凹を描きながら徹底してアブストラクト、それでいてその背後には熱く激しいエモーションの沸騰をイメージさせる破壊テロ風ヴァイオレント・アクションをぶつけてくるピアノ、とが各々の鳴動に細かく感応しつつひたすら屈強に、ハードコアに苛烈な対話を交わし(もしくは死闘を繰り広げ)てゆく、問答無用のワイルドな昂揚と感動に溢れた悔いなき敢闘内容。
★生々しいフリー・インプロヴィゼーションの交感ではあるが、リズムやテンポ、抽象性と情緒性のバランス具合などには中々微細に変化がつけられしっかりと工夫が凝らされて、どのトラックも確固たるコンセプトのもとにドラマティックな雄渾ストーリーが立ち現れており、一瞬も清新味や迫真スリルが絶えることなくその生鮮度も決して薄まらず、大暴れの立ち回り激突の他、ロマネスクなバラード調やノリノリのファンク・グルーヴ調(またはR&B調)とかも好タイミングで出てきて、最後まで殊の外フレッシュな気分のまま一気にイカせてくれる。
★吉田(ds)の、頑強でヘヴィーかつ自在なパワーをもって神出鬼没のゲリラっぽく野蛮に奇襲し猛襲してくる爆裂攻勢と、さすが百戦練磨の熟達さに裏打ちされた鮮やかな律動的グルーヴ感演出、の双方に全くブレていない鋼の妙味と強靭すぎる体力を揮いきった活躍が冴えに冴えており、一方スガ(p)の、ピアノを打楽器の集合体として扱うひたすら角を立て硬化しまくった獰猛かつシュール或いはダダイスティックな、ジグザグ凹凸したこれでもかのパーカッシヴ叩きワザ、で大いに圧迫してくる反面、ポール・ブレイとかとはまた趣の違ったロマンとエロス漂う独自のフリー派バラード解釈や、セロニアス・モンク、ミシャ・メンゲルベルクなどにも通じるおどけた調子の変則リズミカル・プレイ(ストライド〜ブギウギ調とかも)、更には、わりかしストレートアヘッドめのモーダル・バピッシュな旨口グルーヴ・センスを垣間見せるファンク節、といった辺りの情味の顕れ様にもアジな魅力のある、そうした表情多彩な駆け巡り熱演もバッチリ奮いに奮っており、そして何より両者の互いに相手の音一つ一つを精緻に掬って己の一手に反映させてゆく、アンサンブル&インタープレイの粋が鋭くもきららかに光っていて見事。
01. Camellia (4:19)
02. Forsythia (4:43)
03. Gardenia (7:39)
04. Hawthorn (10:42)
05. Linden (7:46)
06. Sasanqua (8:06)
07. Zelkova (8:04)
08. Rhododendron (6:05)
09. Elm (8:23)
10. Magnolia (8:36)
11. Podocarpus (2:46)
*all songs improvised by Yoshida & Suga
吉田 達也 Tatsuya Yoshida (drums, voice)
スガ ダイロー Dairo Suga (piano)
2020年12月15日東京・渋谷(円山町)の7th Floorでのライヴ録音
レーベル:
doubtmusic
在庫有り
国内制作・三つ折り紙ジャケット仕様CD
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