※CDと内容は異なります。
★新作リリースもコンスタントに行ない、また一段と熟味を増した快調ぶりが続くお馴染みアメリカン・スイング・テナーサックスの横綱スター:ハリー・アレン(1966年ワシントンD.C.生まれ)の、寺島レコード初登板となる本作は、ギター入りカルテットによる歌物バラード集(選曲は寺島靖国プロデューサー本人による)。こちらはCDとは内容の異なる限定生産のアナログLP版。
★潤いとともに濃い陰影を帯びたメロウ&レイジーなギターの調べに導かれて、ズッシリと重心の据わった太いトーンで幾分かルーズっぽく宙をたゆたい流れるかのようなテナーの、全身これ哀愁の塊と化したけだるく物悲しげなマイナー・メロディック・ブロウが悠々かつ切々と、実に味わい深い華を煙霧の如く不透明に成した、何とも云えぬ雅やかな含蓄余情に包まれる思い(ちょっと深山幽谷っぽい趣もある?)の快適内容。
★温かでインティメイトな和み気分を変らず底流させながら、しかしベースやドラムの動きには極めて細密かつシャープに凹凸を描き意表を衝いてくるトラップ的要素も散見して、さりげなく生々しいスリルも齎される、寛いだ中にもピンとした張り・背筋の伸び具合を自ずと有したバランス絶妙なミッドナイト・ムードの抒情派メロディアス・バピッシュ快演が、余裕と落ち着きそして節度をもってゆったりと、それでいて無駄のない適度な簡潔さで滑脱に紡がれてゆき、仄暗くクールなアンニュイ情緒を濃やかに映し出すブレンクホーン(g)、以下サイド陣のツボを心得た中々芸の細かいサポートにしっかりと支えられて、座長アレン(ts)の腰を据えて伸び伸びとウォーム&リラクシングに憂き詩情を歌い上げる、肩の力の抜けた自然体調子の「穏やかな波」のようなアドリブ・プレイが、その一音一音・一吹き一吹きに宿る圧倒的スター性も魅惑力たっぷりに、ひたすら流麗なる冴え渡り様を朝飯前っぽく示して全く見事。
→まろやかでスムースな流線形的軌跡をゆっくりじっくりと太く描いてゆく、澄んだ清爽さと微妙に翳ったおぼろなスモーキーさが表裏を成しつつの(頽廃色強めな)メランコリック節、が超芳醇なコクを滲ませながら大層ムーディー・グルーヴィーに映えている他、高音部をより細くシャープかつハスキーに「掠れ鳴り」させる涼風ワザや、物憂さや倦怠感を排してハード・ドライヴ感も全開に明るく晴れ晴れとパンチを利かせて歓喜を表す感じの、躍動感に満ちた抜けのいい青嵐をイメージさせる豪快ボッサ・フレージング、といった転回にもそれぞれきららかな妙味があって決して一本調子に陥ることがなく、全体を通じ、唄物をスラスラとハード・バップ・ジャズもしくはモダン・スイング・ジャズに変換して涼しげ愉しげなその、さすが「歌曲解釈の達人」たる本領があくまで悠然と(チョチョイのチョイと)揮いきられていて、誠に鮮やか。
SIDE A
1 The Rose Tattoo (Harry Warren)
2 Love, Your Magic Spell is Everywhere (Edmund Goulding)
3 La Rosita (Paul Dupont)
4 Boulevard of Broken Dreams (Harry Warren)
5 I Surrender Dear (Harry Barris)
SIDE B
1 My Reverie (Claude Debussy)
2 Close as Pages in a Book (Sigmund Romberg)
3 Carioca (Vincent Youmans)
4 Lilacs in the Rain (Peter De Rose)
5 St. James Infirmary (Traditional)
Harry Allen (tenor saxophone)
Dave Blenkhorn (guitar)
Mike Karn (bass)
Quentin Baxter (drums)
2022年日本作品
レーベル:
寺島レコード
※限定枚数に達しました時点で販売終了。
在庫有り
完全限定盤LP