★ジョニー・グリフィンやルイ・スミスのサイドで名を上げ(他にも、ジョン・ヘンドリックス、ジョージ・コールマン、アート・ファーマー、スライド・ハンプトン、トム・ハレル、ジミー・ヒース、チャールズ・マクファーソン、ジェリー・マリガンらのビッグ・ネーム達に重用される)、Criss CrossやDIW、SteepleChase、Sintraよりのリーダー作群にも好評を集めてきた、NYシーンで40年来活動する正統派のヴェテラン・ピアニスト：マイケル・ワイス(1958年米テキサス州ダラス生まれ)の、久しぶりのリーダー・アルバムとなる今回は、テナーサックスの人気横綱:エリック・アレクサンダーを迎えたカルテットによる一作。
★硬質で角張った骨太いストーン・タッチのピアノが、律儀一徹に伝統的バップ・イディオムをフル活用しての陰影濃くゴツンと堅牢な殺陣っぽいスウィンギン・アクション・プレイ、を貫いて音空間全体に重厚で固い締まりと安定性を齎し、一方、太く逞しげでいて人肌の温もりとコクに溢れた美味トーンのテナーが、ダイナミックな激動パワーやハード・ドライヴ感に満ち、と同時にソフト・スムースな脱力感をも絶妙に垣間見せる、スイスイ波に乗るようなしなやかブロウを朗々と繰り出し続けて雄渾かつテイスティーな華を成した、全編ハード・バップの本道ド真ん中を迷いなく突き進む活劇エンタテインメント的行き方が横溢して、スカッと壮快に昂揚させ、またホッと暖かに安堵させてもくれる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔く重点を絞り込み、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも潤沢に備わった、ひたすら親しみやすく旨味こってり、人情味たっぷりのシンプル・ストレートな大衆娯楽派メロディック・スインギー快演、が嬉々溌溂かつ和気あいあいと愉しそうに、おおらかに展開され、幾分か大振りに威勢よく分厚いビートを刻むドラム&ベースのダイナミズム攻勢、に頼もしくノセられ、突き上げられながら、アレクサンダー(ts)やワイス(p)の気力も充実しきった伸びやかなソロ活躍が、おいしさのエッセンスを凝縮したような極めて密度の濃い活況を、豊作ぶりを呈して全くゴキゲンだ。
★アレクサンダー(ts)の、ここではあくまでゲストに招聘された一ソロイストになりきって、タフ&パワフルでありながらリキみの抜けた自然体の普段着感覚で得意ワザの披露に興じきる、といった感じの、ストロングネス全開にして悠々&伸び伸びと構えた好もしいゆとりすら感じさせるその豪快滑脱咆哮が、どこまでも超芳醇そしてハートフルに冴え渡っていてさすが卓越しており、 かたやワイス(p)の、スクエアーでストイックな昔気質の純正バップ・フレージングを変らず根幹として、ガキゴキと鋭角的にグルーヴを体現し揺るぎないところを見せる他、よりモーダルでパッショネート&スピリチュアルな疾走ぶりや、涼しげで趣味よく瀟洒な寛ぎボッサ節、などの転回も適所適量挿入する何げにドラマティックなメリハリある半役者的立ち働きも、中々懐深くて円熟の妙味に溢れている。
★ドシャバシャ・ブイ〜ンブイ〜ンと大音量で圧倒するヴァン・ノストランド(ds)&ギル(b)のアタッキングな助演も実に的確で好インパクト。
1. Persistence
2. Second Thoughts
3. Apres Vous
4. Only The Lonely (p-b-ds trio)
5. Jitterbug Waltz
6. Epistrophy
7. Once I Loved
8. Birthday Blues
Eric Alexander (tenor saxophone except 4)
Michael Weiss (piano)
Paul Gill (bass)
Pete van Nostrand (drums)
2021年7月27日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのヴァン・ゲルダー・スタジオ録音
(engineered by Maureen Sickler)
レーベル：
Cellar Music (Cellar Live)
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見開き紙ジャケット仕様CD
